踊る夜光怪人 名探偵夢水清志郎事件ノート/はやみねかおる
夜光怪人出没の噂を確かめに亜衣たちは夜の桜林公園へ。やはりそこには闇に踊り、首が取れる光る怪人が! 文芸部後輩の千秋の実家、虹斎寺の和尚さんは、亜衣と麗一(レーチ)に難解な暗号が記された古い巻物を見せる。怪人と暗号、両方の謎が解けたという教授、名探偵夢水清志郎は、町の人を集めて何を始めるのか!?
夢水清志郎シリーズ第5弾です。
今回から描かれている「レーチの文学的苦悩」が大好きです。
レーチが亜衣に電話をしようとするのですが、毎回出来なくて……というもの。
私、このシリーズ後半読んだことないのでわからないのですが、最終巻「卒業」まででレーチが黒電話に勝ててたらいいなー。
そして黒電話で思ったこと。
「最後の数字を回して、あとは指をダイヤルから離すだけで、電話がつながるんだ。」(p216)
という描写があるのですが、これ今の子どもに通じないんじゃないかと思います。
たぶん高校生でも知らない人いると思います。
私が幼稚園児くらいだったころ(15、6年前?)よく通っていた病院の待合室においてあった記憶があるのですが、そこ以外で見たことはなく、使い方すらなんとなくしか知らなかったりするので。
でも、やっぱりレーチが戦い続けるのは黒電話なんですよね(笑)
なかよし版の漫画だとレーチの相手はキラキラのデコられた携帯ですごく違和感を覚えたので。
亜衣ちゃんとレーチの関係が非常に気になります。
登場人物紹介では「亜衣の彼氏」になっているものの、レーチは告白したものの、ちゃんと返事がもらえたわけではなさそう。
今回新登場の後輩・千秋はレーチが好きで文芸部に入ったのだとか。
亜衣ちゃんの嫉妬というには淡い感情がとても可愛らしかったです。
地下探検に出かけるときのレーチの行動を見ていて、都会のトム&ソーヤの内人を思い出しました。
ナイフに関する考え方とか、酸素の有無の確認だとか。
レーチの方が先のキャラクターだから内人がレーチに似た考えってことなのかな?
レーチや内人がいたら多分無人島でも生活できるんだろうなぁ、とか思ってました。
特に内人。
内人の知識はおばあちゃんの教え。ではレーチは一体だれに教わったのでしょう?独学なのかな?
いつものごとく冒頭での小さな謎(第1部)と、物語の主軸になる大きな謎(第2部)があり、考え方はどちらも同じものです。
同じ考え方でとけると分かっていてもおもしろく、読者をあきさせないのだから毎回はやみねさんの作品はすごいと思います。
さらに読者への挑戦が2回も挿入されるという本格ものです。
何度も読んだことがあるので、挑戦も何もあったものじゃなかったのですが、初読の際は挑戦してみてもおもしろいかもしれません。
実は作品冒頭で示される五十音表は大きなヒントだったんですね。
今回読むまであまり気にしてなかったのですが。
この作品、元は児童書ですが結構バカにできませんよ?
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