黒いモスクワ ST 警視庁科学特捜班/今野敏
ロシアの捜査当局と情報交換のために急遽出張せよ――。
モスクワに到着した警視庁科学特捜班、通称STの百合根と赤城を待ち構えていたのは、ロシア正教会で起きたマフィア怪死事件だった。さらに、日本人フリーライターも変死して……。STシリーズ第3段。『ST 警視庁科学特捜班 黒いモスクワ』を改題。
改題されている作品だったんですね。知りませんでした。まあ、どちらが先かってだけですからそこまで問題じゃないんでしょうけど。
でもなんでこれだけ“ST 警視庁科学特捜班”がサブタイトルにしたんでしょうか?
今回ピックアップされているSTメンバーは黒崎。えっと、鼻がよくて武術に長けている人です。
ピックアップされてはいるんですが、もともと無口の人なのであんまり目立ってないような……。
あんまり喋らない=芦辺さん登場ってことなのかな?とか思ってます。
この作品はタイトルからして分かるとおり、STメンバーがロシアに赴きます。
はじめ、赤城さんとキャップだけがロシアに向かったものも結局全員がロシアに行ってしまうのですから、ちょっと無理あるなぁ、とも思いました。
まあ、そこまで気になりませんでしたけど。
ロシア人の名前とか絶対訳わかんなくなる!と思っていたのですが、思っていたよりロシア人登場人物の数が思っていたより少なかったのでそこまで困ることはありませんでした。
けど、その少なさがゆえに犯人が分かりやすいです。
そして、爆薬のない爆発の正体もミステリ好きなら比較的すぐ分かるのではないでしょうか。
『焼けた小麦粉のにおい』。私もすぐにピンと来ました。そこから犯人まで一直線ってわけには行きませんでしたけど。
まあ、この手の小説は犯人探しよりその犯人をどう捕まえるか、ってのも楽しみの一つなのでそれもまたよしって感じ。
作中で菊川さんとキャップの酒盛りシーンがあるんですが、そのときの会話で気づかされました。
そうなんですよね。キャップはキャリア。現場に出てるのはせいぜいあと数年であってそのあとはどこかの警察署の署長におさまって……、っていう決まりきった出世の道を歩いていくはずなんですよね。
逆に菊川さんはえっと45歳で警部補ですか。なら警部で退職かなぁ。
百合根がキャップとして存在するのはあと数年。そういわれるとすごく寂しい気がしますね。
シリーズ3作目にして愛着が出てきたというか。
もし、キャップがどこぞの警察署長になって、新しい人がSTにやってきたとき、STメンバーたちはどういう対応をするのか。気になるところでもありますけどそんなことが描かれなければいいなぁ、とも思います。
そして、菊川さんの対応も変わってきたなぁ、と。
前巻で青山も菊川さんのキャップに対する感情を語ってましたけど、キャップの呼称に関するやりとりなんて、ちょっと微笑ましかったです。
ああいうのは好きだなぁ。
そして、SATの扱われ方にも思わず笑ってしまいました。
はじめはSATのおまけにSTだったんですけどね。
あれですね、“井の中の蛙”ってやつ。
おもしろかったです。
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