私の家では何も起こらない/恩田陸
ようこそ、丘の上の幽霊屋敷へ。美しく優雅なゴーストストーリー。
この家、あたししかいないのに、人がいっぱいいるような気がする……
小さな丘の上に建つ二階建ての古い家。この家では、時がゆっくり流れている。
幽霊屋敷に魅了された人々の記憶が奏でる不穏な物語。
巻末に驚きの書き下ろしサイドストーリーが!
図書館で借りてきました。
これで恩田陸さんの作品は3つ目ですね。カテゴリ作りました。
特に気にしないで借りてきていたのですが、この作品って
ゴーストハントと同じレーベル――幽BOOKSの作品だったんですね。
【私の家では何も起こらない】
【私は風の音に耳を澄ます】
【我々は失敗しつつある】
【あたしたちは互いの影を踏む】
【僕の可愛いお気に入り】
【奴らは夜に這ってくる】
【素敵なあなた】
【俺と彼らと彼女たち】
【私の家へようこそ】
【附記・われらの時代】
以上10本が収録されています。
私で5~10分で1編読めるくらいだったので1つ1つは短いです。
こういうのをショートショートっていうのかな?
連作短編集です。
共通点は「丘の上にある家」の話が出てくること。
ほとんどがその家で死んでいった人間たちの話です。
語り口は淡々としていて、ほとんどの作品でかぎかっこが使われることなく、地の文の中で会話がなされていきます。
ものによっては語りかけている様子だけが描かれ相手がなんといったかを復唱することで会話を成立させているものもありました。
読んでいると薄気味悪いというか不安になってくるというか。
恐怖を感じるには、登場人物たちはみな冷静すぎるんですよね。
パニックを起こすことがないから、恐怖よりも気味が悪いって方に比重が傾いてしまうんだと思います。
途中まで固有名詞が出てこないので、いったいいつの時代のどこの国の話なのかわかりませんでした。
そこまで問題ではないんですけどね。
ビルという名前が出てくること、自殺にたいしての反応などからキリスト教圏の海外なんだな、程度しか私にはわかりませんでした。
恩田陸さんらしい作品だな、と思いました。
気づけば淡々と進む語り口にのめり込んでいて。
読み終わったその時に思わずため息をついてしまい、物語の世界から戻ってくるとでもいえばいいのかな。
そういう読みごたえのある感覚を与えてくれる本ってあまりないので、そういう意味でも楽しめました。
幽BOOKSシリーズが気になります。
こうあたり作品が続くと他のものも読んでみたくなりますね。
今度図書館で探してみようと思います。
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