ゴーストハント 7 扉を開けて/小野不由美
「オフィスは戻り次第、閉鎖する」
能登の事件を解決し、東京への帰路についた一行は、道に迷ってダム湖班のキャンプ場にたどり着いてしまう。ナルの突然のSPR閉鎖宣言に戸惑う麻衣たちは急遽、湖畔のバンガローに滞在することに。そこへ舞い込んだ、廃校になった小学校の調査依頼。幽霊が出るという校舎には恐るべき罠が仕掛けられていた――。すべての謎が明らかにされる最終巻。驚愕の真実とは!?
やっと、見つけた・・・・・
能登からの帰り道に立ち寄った湖。
そこにナルが探し求めていた何かがあった。
シリーズ第1作からの謎が、ついに明かされる!
「ゴーストハント」完結!
図書館で借りてきました。
バスの方にのせられてしまったと思っていたんですが、ちゃんと館内にあったようです。間を開けず借りられてよかったです。
これで最終巻な訳ですが、もうなんというか麻衣が可哀相でなりませんでした。
偶然立ち寄ったダム湖に何かを見出したナル。
訳がわからないまま、そこに滞在することになったSPRご一行。
そこには、ナルがずっと探していたものがあるわけです。
それは兄の死体でした。
湖に沈められたそれを探す傍ら、市長から廃校で起きる怪現象についての調査を依頼されます。
どうせ暇だから、と調査を開始しますが、そこは本当は危険なところで。
校舎内に閉じこめられ、徐々にメンバーが子どもたちと入れ替わっていき……。
ちょっと恐怖です。でも、読者である私たちには、登場人物のように誤認させられることはありませんからね。
今回、最終巻ということもあり、今までの伏線が回収されています。
ナルこと渋谷一也は、偽名だったんです。本名はオリバー・デイヴィス。
そうイギリスSPRの気鋭の研究者で、サイコメトリとものすごいPKをもつ御仁。
今までの違和感はすべてそこに収束されていたわけです。
電話番号云々は、どうしても違和感を覚えてしまいますが元々携帯がない時代の話ですから、そればっかりは仕方ないですね。
物語の途中で、ぼーさんをはじめとする男性陣からヒントを与えられて麻衣は少しずつ真実に近づいていきます。
でも、麻衣にとっての驚きはそれだけじゃなくて。
夢の中で遭遇していたナルはナルじゃなかった。
それはナルの双子の兄、ジーンことユージンだった、と。
日本で亡くなっていたジーンは、たまたまナルと出会った麻衣に霊能力の才能を見出して力の使い方を教えていた、って訳なんですね。
そして、麻衣はジーンの存在を知らなかったために、ジーンとナルを同一視していた、と。
麻衣はどうやったって叶わない恋をしていたんですね。
これ、ジーンも悪いんだよなぁ。夢の中でジーンはナルと間違われていることを解っていて(麻衣はずっと「ナル」呼びしていた)放置していた訳じゃないですか。
ジーンの性格がいまいち解りかねるので断言は出来ませんが、自身に寄せられる好意に全く気づいていなかったとは思えないんですよね。
穿った見方かもしれませんがジーンはそれすらも利用していたんじゃないかな、と思ってしまうんです。
ジーンは「自分の代わりにナルの側で霊視してくれる人物」になってもらおうと麻衣の指導霊を気取っていたんでしょう?
もし、麻衣がナルに好意を抱いていなければこんなに長く一緒にいたでしょうか。
まあ、麻衣もお人好しだから自分が辛い思いをしても一緒にいた可能性も高いですけどね。
一度は事務所の閉鎖を決めたナルでしたが、いろいろあって事務所は存続することに。
最後に麻衣はふっきれた様子を見せています。
確かに恋は一人でも出来るでしょう。でもなぁ。
これで終わるのは少女小説としてどうなの、と思わなくもないです。
一応、もう1冊続編はあるらしいんですが、そちらはリライト版はありません。
新装版?完全版?
十二国記の後にでも残り1作もリライトされて続編も刊行されたらいいな、と願っています。
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