なぜ猫は旅をするのか?/永嶋恵美
町を歩けば猫と事件が待っている――性格は正反対、でもぴったりの二人が出逢うミステリー!
交通事故、記憶喪失、横には夏海――
ワケあって謎解きをしています。
人情と猫で知られる町の大学病院。医師の鳥羽裕太は事務の石倉夏海と、名誉の負傷がきっかけで親しくなった。車にひかれそうになった子どもを助けて事故にあったのだが、それが夏海の甥だった。
事故の衝撃で失われた記憶を求め、裕太は夏海に引っ張られる形で、いっしょに手掛かりを探し始める。ところが、どうも夏海は「人」と「事件(騒ぎ?)」を呼び寄せる天才のようで……
恋はゆっくり。謎はすっきり。
チャキチャキッと明るい連作ミステリー!
図書館で借りてきました。
表紙がとても可愛らしいです。
【第1話 月曜日のヒーロー】
【第2話 極秘任務は火曜日に】
【第3話 油断できない水曜日】
【第4話 雨の日と木曜日は】
【第5話 花咲く金曜日】
【第6話 ウィークエンドはお祭り騒ぎ!】
が収録されています。
あらすじにあるとおり、男の子を車から助けたら自分が強く頭を打ってしまい、事故前後の記憶を失ってしまったお医者さん・裕ちゃん先生こと鳥羽(とりば)裕太。
その事故がきっかけで男の子の叔母であり、勤務先の大学病院の事務員・夏海と仲良くなって、日常のちょっとした謎を解決していく話。
さらに事故の後遺症で高次脳機能障害なる「集中力が続かない」「注意力散漫」という症状が出ているんだとか。
精神科医ってこともあり、職場でいろいろ融通がきき、さらには周囲の理解があって生活に支障を来たすことなく暮らしている裕ちゃん先生は恵まれているなぁと思って読んでいました。
作中でも「外科医ならそうはいかなかった」と触れられていましたが、普通、そういう障害が残ってしまえば会社を首になってもおかしくないですよね。
タイトルがタイトルなので、猫が何かしら絡むミステリーなんだろうな、と思って借りてきたんですが、思ったより猫成分は少なめ。
ちょこちょこ登場はしているんですが、裕ちゃん先生がアレルギー持ちってこともあり、猫が登場しても見てるだけだったりするんですね。
ミステリー要素も「これってミステリー?」ってレベルです。
コージーミステリーは嫌いじゃないけど、謎が謎というほど難しいものじゃないのが残念でした。
だから、あらすじが「事件(騒ぎ?)」になっているんですね。納得。
ただ、タイトルにもなっている「猫が旅をする」って考え方はいいなぁと思いました。
私自身猫を飼ったことがあるわけじゃないんですけど、猫は死期が近づくと姿を消すというじゃないですか。
飼い主からするとそれはとても悲しいと思うんですよ。だから、それが死ぬための行動ではなく、楽しむために旅をしていると考えるとちょっと救われますよね。
多分、1時間半とかそれくらいで読み終わりました。
明るくほんわかしていてさらっと読めるそんな話でした。
読む前は可愛らしい表紙だな、と思っただけだったんですが、読み終わって改めて細かなところまで見ていくと、作中に登場したものがたくさん散りばめられているんですね。
こういう細かいところもこだわっているのはいいですよね。
最後に失っていた事故当時の話を取り戻して、物語としては一応完結しています。
裕ちゃん先生と夏海とハルくん(事故のとき助けられた夏海の甥っ子)の3人で過ごす様はまた見たいなとは思いました。
シリーズとして続編が出て図書館で購入したら読んでもいいかな、って感じです。
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