ノワール・レヴナント/浅倉秋成
レヴナント【Revenant】
①(長い留守の後に)帰って来た人
②死の世界から戻った者・亡霊
第十三回講談社BOX新人賞Powers
大型受賞作品登場
不思議な声と奇妙な能力に導かれて、普通の高校生4人の"懸命な闘い"がはじまる!
他人の背中にその人の「幸福度」が見えてします。
本の背を指でなぞっただけで中身を記憶してしまう。
毎朝5つだけ、今日聞くことになるセリフを予知してしまう。
念じることで触れたものを破壊してしまう――。
そんな奇妙な能力を持ってしまった4人の高校生たちが、何者かの導きで出会い、すべての"偶然"が"必然"だったことに気づく。
張り巡らされた伏線、それらがすべて回収された時、
あなたは驚きとともに爽やかな感動に包まれる!
新人賞選考会で第絶賛された傑作が、ついに登場
図書館で借りてきました。
ちゃんと確認しなかった私も悪かったのですが、なめてました(笑)
物語はあらすじにもあるとおり、不思議な能力を持つ4人の高校生たちが出会い、集められた理由を探っていく4日間+αを描いた話です。
幸福度がわかる大須賀駿、
本を読まなくても読める三枝のん、
セリフ予知の江崎純一郎、
触れるたものを破壊できる葵静葉。
この4人が集められた理由を探すうちに、それぞれの能力を用いて、隠された真実を明らかにしていきます。
この小説、600ページと見ただけでもかなり分厚いんです。
でも講談社BOXだし、YAコーナーにあったし、まあ3時間あれば読めるかなぁと高をくくっていたんです。
講談社BOXってその名の通り、箱に入っているんですよ。
図書館でもその状態で置いてあって、あらすじだけ読んで中を確認することなく借りてきたんです。
開いてびっくり。まさかの二段組。
3時間ですむはずがなく、結局読み終わるのに5時間ちょっとかかりました。
読み終わった後、すっきりしたというか達成感が半端なかったです(笑)
思っていたのより数段面白かったです。
目的はともかく伏線は結構わかりやすかったし、上記の通りかなり厚いので読みきるのは大変なんですが、最後まで読ませる力はあります。
何よりこれが新人が書いたというのがすごい。
文体は比較的読みやすいです。ネックは文章量ですね。
物語としては、一応ハッピーエンドで終わっています。
が、色々と謎は残っているんですよね。
全ての元凶であり、はじまりである黒澤皐月はどうして4人に能力を与えることが出来たのかとか、
現実世界(ビックサイトやホテルの料金等)にどうやって影響を及ぼしたのかとか、
犯人(というか黒幕?)の「勝ち逃げは許さない」というセリフから4人はこれから先何をされるのかとか、
大須賀くんの隣人夫婦はいったい何を代償にしてしまうのかとか。
まあ、一番気になったのはそれぞれの連絡先を消してしまった4人が再会することはあるのか、ってことでしょうか。
葵さんと江崎くんの関係がめっちゃ気になるんですよね。
結構序盤からフラグは立ってたし、最後のメモでめちゃくちゃ滾りました。
ですが、葵さんは自分への戒めとして「以降の人生において、一切、恋をしないこと」としているわけで。
正直、大須賀くんと弥生ちゃんはほっといても幸せになるだろうから、葵さんたちの方も幸せにしてほしいなぁと思ってしまいました。
作者さんの2作目の広告があるんですが、あらすじを読む限りだと続きというわけではないよう。
まあ、大須賀くん以外は力は失ってしまった訳ですし、彼ら4人のその後が描かれることはないでしょう。
こればっかりは仕方ないかな。
機会があったら2作目も読んでみたいと思いました。
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