猫刑事(ネコデカ)/一条明
「このどうしようもない世界にまだ何か正義があるなら、それは冷たいスイーツよ」
フェリシア・ワイルドハートは元猫の特殊捜査員。
アーネスト・シバタは元犬の特殊捜査補佐員。
人間化された元動物たちが住む居住区第8セクターで、彼らが挑む、とびきり奇妙で不可解な事件とは――
「しっかし、猫のフリって、ほんっと疲れるね。ニャア、とか言っちゃってさ。ほんともう、何がニャアだか」
気まぐれで、独断専行で、自分勝手。
でも、正義が好き。猫だから。
かわいくて、ちょっとグロテスクな異色のSFミステリ!
図書館で借りてきました。
SFって苦手なんで借りようか借りまいか悩んだんですが、タイトルと表紙に惹かれて借りてきてしまいました。
【暗闇では誰もが灰色】
【主を睨むこともある】
【灼けた煉瓦の炉の上で】
【棒を恐れず手を噛まず】
【彼女はワイルドハート】
が収録されています。
噛は本当は旧字体ですが、文字化けしそうなんでこっちで。
【彼女はワイルドハート】だけ書き下ろしのようですね。
「持続する主観性を持つものを人間だとみなす」っていう主張が一般的な未来が舞台。
いまいち理解しきれていないんですが、主観というか自己の意志が存在していればいいってことなんだと思うんですよ。
だから、犬や猫なんかも人間だと見なされる、と。
犬猫の後頭部に容量をあげるための人工の脳をつけ、思考回路を人間化し、その脳を作られた人間のボディにうつしかえることでフェリシアやアーネストのように「元動物の人間」が作られて いると。
帯に「ちょっとグロテスク」とあるのですが、確かにグロテスクでした。
人間化するってこともある意味グロテスクだけど、人の肉が培養されて食用としてふつうに出回っていて本当に驚いてしまいました。
さすがにカニバリズムが一般的だとは思わないじゃないですか。
しかも、遺伝子を提供することが人気になっていて、おいしいと評価されることが一種のステータスになっているとか、ね。
表紙からはかわいらしいけど幻想的なイメージを覚えるんですが、読んでみるとあまりそんな感じじゃなかったです。
帯でも「かわいらしくて」とあり、かつフェリシアとアーネストの説明があるので、この2人はカップルなのかな?と思ったのですが、そういうわけじゃありませんでした。
ちょっと残念。
フェリシアの昔の恋人が登場しているものの状態が状態ですから、百合っ気と薔薇っ気の方が印象に残ってしまいました。
ついでに、ミステリ色もかなりうすいです。
好き嫌いがはっきりわかれる作品じゃないかなと思いました。
好きな人はどっぷりつかれる感じだけど、嫌な人は本当に嫌っぽい。
私はあんまり好きじゃありませんでした。
一応最後まで読みましたが、続編が出てもたぶん借りないと思います。
表紙とタイトルは好きなので手にとってしまうかもしれませんけどね。
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