St.ルーピーズ/長沢樹
ようこそ、"聖なる愚か者(われら)"のラボへ――。
聖央大学"SL&S(スピリチュアル・ラバーズ&サーチャーズ)"、通称ルーピーズは超セレブが集うサークル。
そこに飛び込んだ1年生のビンボー理系女(リケジョ)は超常現象を解明するハメに……
スピリチュアル&サイエンス、そして財力で謎に挑む本格ミステリー!
ホンモノかトリックか――さあ君たち、超常現象を解明せよ!
聖央大学の超常現象研究サークル「Spiritual Lovers & Searchers」に入会を希望した理工学部応用物理学科のビンボー1年生。二神雫。「SL&S」はおばかなイケメン会長・綾崎航太のせいで、"St.ルーピーズ・サナトリウム(聖なる愚か者の療養所)"と呼ばれ学内で敬遠されていた。だが、No.2の榊智久、航太に想いを寄せる美女・中務花蓮を含め全員が日本を代表する企業の子息、令嬢で超セレブだった。試用期間の課題としてトンネルに現れた幽霊の謎を解明することになった雫は「ここに幽霊はいません」ときっぱり。実は雫には、幽霊が視える能力が……。
図書館で借りてきました。
前々から気にはなっていたものの読むのははじめての作家さんです。
【FILE1 密室とスチーム・ゴースト】
【FILE2 墜ちるゴスロリ・ゴースト】
【FILE3 雪と消失のBLUE NOTE】
が収録されています。
どれも中編というべき長さの連作集です。
物語は、父が営む工場が倒産し、お金を節約したい雫が、食費家賃補助のあるサークルのスタッフ募集に応募するところからはじまります。
そのサークルは超常現象の情報を募り、解明するというもの。
雫はそれすら知らず入ったわけですが、まあ表向きにも裏向きにもちょうどいい能力の持ち主ということもあり、メンバーたちに受け入れられていきます。
メンバーたちがセレブかつ学校もそれなりにお金持ちの方々が通うところってこともあり、出てくるキャラの8割ぐらいはお金持ちです。
それでもあまり嫌みな気がしないのはなんでなんだろう。
主人公である雫があまり気にしていないからなのかもしれません。
そんなこんなで、雫たちはサークルに持ち込まれる怪現象を解明していきます。
これ、作者がねらってやってるんだと想うんですが、全部密室ものなんですよ。なので、科学的見地で解明できなければ十分超常現象であると信じられてしまう、と。
おもしろかったです。
難点をいうのであれば、視点変更をした時に誰の視点であるかがちょっとわかりにくかったことでしょうか。
一瞬、うん?これは誰だ?ってなることもあったので。
あとはそうですね。
あらすじには登場しませんが、雫のプレーンとなっていた安斎がいい味出してたな、と。
個人的にはこういうキャラ好きですよ。雫と安斎は恋愛には発展しないみたいな距離感でしたが、くっつくならここかあっちだよなぁ、とも思うのでぜひ続いたら恋愛方面もみてみたい気もします。
金に物言わせすぎとか、せっかく雫が幽霊見える設定なのにまともに幽霊をみて接触してるのは初代ハウスキーパーの丹野さんぐらいなのはちょっともったいないかななんてことも思うのですが。
物語的には、きれいに終わっています。
サークルを作る原因となった親子間での確執は解消されました。
しかしながら最終的な目標である亡き母の声を聞けてはいないので、まだまだ活動を続けるぞ!って形なので終わるもよし、続けるもよしな流れなんですよね。
個人的には続いたらまた読みたいなと思うので、図書館で時々チェックしようと思います。
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