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(腐)的感想文

隠れ腐女子の日常と小説や漫画の感想を書いてきます。

   
カテゴリー「【小説】小路 幸也」の記事一覧

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夏のジオラマ

夏のジオラマ (集英社みらい文庫)夏のジオラマ/小路幸也
夏休みに入って3日目。
学校で"共同自由研究"をしていた僕たちに事件が起こった。体がでっかいマンタが消えたんだ。その直後、僕は理科準備室でおかしな木の箱を発見する。
中には、模型みたいに小さな道路や川があって……これってジオラマ!?
なぞを解明するうちに、不思議な出来事を体験していく。
これは僕たちのひと夏の冒険の話。


図書館で借りてきました。
これで小路幸也さんの作品は3つ目かな?後でカテゴリ作ります。
小路さんの作品、結構持ってるのにどうして図書館で借りてきてしまうんだろう……。

タイトル&あらすじでわかる通り、夏休みの少年たちの話です。
時期はずれにもほどがあるんですが気にしないでください(笑)

みんなのリーダー格・リョウこと金子諒。
体も声も大きなマンタこと木本万太。
頭のいい読書家・フミこと三上文恵。
怖がりで寂しがり屋のミクこと新崎未来。

の4人が、ちょっと不思議な体験をします。

集英社みらい文庫から発売されているものなので、非常に軽いです。
みらい文庫でもちょっと薄めになるんじゃないかな。
この本は180ページちょっとしかないので、30分ほどで読み終わりました。

それでも十分楽しめました。さすが小路さん。
ただこれが一般書籍の青春小説だったとしたら、もっと話が膨らんだだろうしそれもまた読んでみたいなと思いました。


はじめよくあるタイムスリップものかと思われたのですが、そういうわけじゃなくて。
箱庭の持ち主であった芙蓉美さん。
昏睡状態に陥った彼女の強い思いによって、箱庭を通じて彼女の精神にひきずりこまれていた、といったところでしょうか。
素直にタイムスリップでもよかったんじゃないかと思いましたけど、つっこんでも仕方ないですね。
まあどっちにしても、不思議なことにかわりはないんですが。

そんな不思議な出来事を「本当のこと」として信じることが出来る金子先生(リョウの叔父)がすごいなぁと思いました。
目の前でリョウたちが消えた後ならともかく、その前から子どもたちの言葉を信じてあげてるんですよ。
すごいですよね。


時の流れによって、芙蓉美さんの手元を離れてしまった箱庭。
その箱庭をありし日の姿で再現したリョウたち。
芙蓉美さんは意識を回復することこそなかったわけですが、それでもきっと芙蓉美さんに彼らの思いは届いたんでしょうね。

おもしろかったです。
ページ数の関係なのか、端折られてしまった部分(三銃士の残りの2人はどうなったのかとか、何故箱庭が芙蓉美さんの手元を離れ磯崎元校長の手に渡ったのか、そして何故理科準備室でほこりをかぶっていたのかなど)が気になりました。
きっとそれらが語られることはないのでしょうけどね。

また彼らの活躍が読んでみたいと思いました。

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ピースメーカー

ピースメーカー (文芸)ピースメーカー/小路幸也
僕らの<知恵>と<愛嬌>が学園を救う!?
赤星中学内で対立する運動部と文化部の架け橋となり、学何に平和をもたらす存在<ピースメーカー>。その実体は放送部の良平とケンちゃん――知恵と愛嬌の凸凹コンビだ!
これぞ小路幸也印!
ハートフルでちょっとノスタルジックな青春エンターテイメント


以前紹介した小路幸也の作品です。
図書館で借りてきました。私、小路さんの作品て初期のものしかまともに読んだことがなくって、今回久しぶりに入荷していた作品を借りてきたのですが、こんな作品も書かれる方だったんですね。


短編連作です。
【一九七四年の<ロミオとジュリエット>】
【一九七四年の<サウンド・オブ・サイレンス>】
【一九七四年の<スモーク・オン・ザ・ウォーター>】
【一九七四年の<ブートレグ>】
【一九七四年の<愛の休日>】
【一九七五年の<マイ・ファニー・バレンタイン>】
【ボーナストラック】

が収録されています。

元々アンソロジーなどに収録されていた作品を加筆修正して1冊の本にまとめたもです。

各話タイトルが上記の通りだからなのか、年代に対する説明は特にされてません。
なので、各話タイトルをあまり気にしていなかった最初の方だとちょっと首を傾げてしまうことがあったのですが、それに気づいてからは納得しました。

私も中学時代1年ほど(転校してしまったので^^;)ではありますが、放送部に入っていたことがあったので、「LP? 音声だけ? カセット?」と。
その中学がかなり新しい学校だったということもあり、各教室へのテレビ放送だとかもできたので。

一九七四年ってことを考えれば、校内放送で映像が流れていたのは少数派だったのでしょうね。


放送部を実質取り仕切っている少年・良介。
その姉・みさきは赤星中学のOGで、当時放送部に所属し、運動部と文化部を結ぶ架け橋として活躍していたんです。
そんな<ピースメーカー>のあとを継いだ放送部のメンバーが校内で起きる様々な問題の解決に乗り出す、という話です。

おもしろかったです。
放送部という裏方を担うある意味特別な部活だからできたことですね。

ちょっと思ったこと。
沢本部長はほとんど部にでてこないわけですから、<ブートレグ>でミウちゃんが転校してくるまで良介とケンちゃんの2人で部を運営していたわけです。
お昼の放送くらいなら2人いればどうにかなりますよ?
アナウンサーとミキサーがいればいいわけですし、まあ頑張れば1人でもできないこともないです。
でもあれだけの企画を考え、精力的に動いていたことを考えるとよくもまあ、良介とケンちゃんの2人で活動できたな、と。

本当にすごいです。

物語としてはまだ続きそうですね。
ボーナストラックのやりとりを読む限り、バレンタインデーってこの頃はまだそこまで一般的じゃなかったんですね。
少なくても女子はともかく、男子中学生がわからないくらい。
なんかそういうところには時代を感じます。

まだ良介たちはまだ中学1年生。
学年があがり、新入生が入ってきてとかそういうのもみてみたいと思いました。
このままきれいに終わるのもそれはそれでいいかと思いますが、続編も読んでみたいな。

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空を見上げる古い歌を口ずさむ

空を見上げる古い歌を口ずさむ (講談社文庫)空を見上げる古い歌を口ずさむ pulp-town fiction/小路幸也
みんなの顔が<のっぺらぼう>に見える――。息子がそう言ったとき、僕は20年前に姿を消した兄に連絡を取った。家族みんなで暮らした懐かしいパルプ町。桜咲く<サクラバ>や六角交番、タンカス山など、あの町で起こった不思議な事件の真相を兄が語り始める。懐かしさがこみ上げるメフィスト賞受賞作!


かなり久しぶりに引っ張り出してきました。
初読はメフィスト賞受賞作を読み漁っていた高校生のとき。図書館で借りて読んだのを覚えています。
そのときは知らなかったのですが、パルプ町って本当にある町なんですね。
てっきり架空の町だと思っていました。


物語は「僕」の息子の「のっぺらぼうに見える」という不可思議な発言からはじまります。
僕が兄であるキョウ――恭一に連絡を取り、恭一の昔語りを聞く、という体裁をとっています。

過去と現在が混合した不思議な語り口で、語られる内容も変わったものなので、読んでいてとても不思議な雰囲気に満ちています。
読んでいておもしろんです。物語に引きこまれる感じもあるんです。でも中々読み進められない。そういう不思議をはらんでいる本でもあります。
地の文が多く、かつ改行が少ないから文字数が同じ厚さの本と比べたらだいぶ違うんじゃないかな?だから読んでも読んでも進まない印象を覚えるんだと思います。


メフィスト賞受賞作とあるので、ミステリーだと思って手にとった覚えがありますが、この作品に関してはミステリーではないです。
佳多山大地さんが解説で述べられている通り、『かつての少年少女のための児童文学』なんですよ。

キョウが経験したひと夏の出来事。
多くの死を経験しているものの、その全ては自殺であり、事故死であり、病死である。
だから殺人事件が起きてとかそういう意味のミステリーを期待していたのなら肩透かしを食らうかも。
でも、キョウが何故のっぺらぼうが見えるようになったのか、顔が見える人がいるのは何故か、顔が見えなかった人でも見えるようになると危険になるのは何故か。
そういう謎は多く仕込まれているので思わず引きこまれます。

キョウ、カビラ、シホ、ケイブン、アサミ、そしてほとんど出番はないとはいえヤスッパ。
語られる子どもたちの世界がとてもリアルに感じました。
ノートの話にはじまる大人になった今なら笑い飛ばしてしまうような怪談話だとか、子どもたちの間だけで通用するルールだとか読んでいてすごくそれっぽいな、と。


最後、キョウの正体というか、のっぺらぼうに見える人と顔が見える人の違いだとかそういう説明もされてます。
<解す者>、<違い者>、そして<稀人>。
正直、そこらへんに対する説明はあまりされていないので、「なんとなくそんな感じなのかな」と言った程度の理解しか出来ません。
pulp-town fictionシリーズはもう1作ありますが、あれはあれで別物ですしね。
そこまできちんと説明されていたような記憶はないです。
私が忘れてしまっているだけかもしれませんが。

ぶっちゃけた話、最後に明らかになる全ての死を後ろから操っていた人物があまりにも凄すぎてびっくり。
完全犯罪も夢じゃないというか、事故、自殺、病死として処理されているんだから完全犯罪が成立しているんですね。すごいな。
それをさせないように<解す>訳ですが、ちょっと終わりがすっきりしないような印象を受けました。

でも、おもしろいことは確かです。

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