猫除け 古道具屋皆塵堂/輪渡颯介
死霊に魅入れられた男に憑いていたのは「化け猫」!?
故郷の田畑を失った庄三郎は失意のまま江戸に赴き、神社で寝泊りをしていた。ある晩、女が藁人形に五寸釘を打ち付けているの見て、恨みから自分も丑の刻参りをしようと考え、道具一式を皆塵堂で買う。だが、その古道具屋に集まるのはあいも変わらず「曰く品」ばかり。
呪いは本当に効くのだろうか?
図書館で借りてきました。
以前紹介した
これの続編になります。
【丑の刻参りの女】
【曰く品の始末の仕方】
【憑いているのは】
【頭の潰れたふたつの屍体】
【猫除け根付】
が収録されています。
前巻紹介時、私勘違いしていたんですが、この作品の主人公は別に太一郎って訳じゃないんですね。
この作品のメインはあくまでも「皆塵堂」なんですね。
皆塵堂に関わることになった人間がメインに語られるから前巻は太一郎が主人公のように見えた、と。
でも、今巻での太一郎の立ち位置は顧問役とでもいえばいいのかな?
皆塵堂から実家に戻っている太一郎ですが、皆塵堂で曰くつきの商品を手に入れた際にそれを鑑定してあげてるというか、引っ張り出されているというか、そんな感じ。
今巻はあらすじにも登場している庄三郎がメインに置かれています。
皆塵堂に居候していた庄三郎も最終的には自分の身のおき場所を手に入れているわけですから、次巻ではメインに語られることはなく時々登場するようなキャラになるんだろうな。
きっと、最終巻でメインに描かれるのは伊平次だろうと思っているんですがどうかな?
連作短編集であるこの1冊。
今巻のメインテーマは「因果応報」とでもいえばいいかな。
作中でも語られているとおり「酷い行いをしたものは最終的に碌な目にあわない」って話。
丑の刻参りだとか呪いの掛け軸云々言ってるけど「人を呪わば穴二つ」とはちょっと違うんですよね。
庄三郎を騙した2人に関しては所在が知れないこともあり、その後どうなったかはわかりませんが、酷い目にあっているんだろうな。
庄三郎に憑いていた“モノ”についてはちょっと驚いてしまいました。
私、結構多くのこういう本を読んできたと思いますが、こういうのははじめて読んだ気がします。
それにしても、庄三郎にそれが憑いたままになっていなくて本当に良かったですね。
幼いころのトラウマで色々と苦手なものが多い太一郎。
そんな太一郎が苦手な猫を飼いはじめたのは無理矢理だったとしても、少しずつ歩み寄ろうとしているのはいいなと思いました。
図書館に3巻もあったのでそのうち続きを借りてきたいと思います。
[1回]
COMMENT