それでも世界は美しい 3/椎名橙
ニケとバルドはリビにより姦通罪の嫌疑をかえられてしまう。しかし、リビのバルドに対する思いに気付いたニケは、違いに歩み寄る事が出来ずにいる二人の関係修復のために奇跡を起こす! 一方、雨の公国からは手紙が届き、ニケが帰郷!? 婆様登場で大騒動の第3巻!!
先日購入してきた1冊です。
紹介が追いついている作品がいくつかあったので、どれから紹介しようかなーとちょっと悩んでしまいました。
3冊目なのでカテゴリ作りますねー。
9話から14話まで収録されています。
【第9話 月を隠して】と
【第10話 雨やどり】は前巻の続き。
ニケとバルドウィン殿下が姦通罪で捕らえられて、ってところで終わっていたんでしたか。
予想通り、バルドがニケにちょっかいを出したのはニケを見定めるためでした。
リビの母に恋慕していたバルドは彼女の最期に息子を託された。
そうして「生きる糧となってくれるなら」とリビに王座を与え、征服を手伝ったわけです。
しかし、その過程でリビは感情を失った子どもらしくない子どもになってしまったんですね。
その状態からバルトはリビを置いて国を出ていて、今回リビの婚約を知り、面倒を承知で戻ってきたって訳なんですね。
二人の事情を知ったニケが動いて話し合いの場を作り、リビが素直な言葉を告げることが出来てバルトは国に留まることに。
次は
【第11話 New adventure.】。
閑話というか繋ぎの話です。
国際会議が開かれることになり、ホスト国である晴れの大国はてんてこまいしてます。
ニケも各国の代表と謁見したり、ファーストレディたちを案内したりと様々な仕事があってめちゃくちゃ忙しそうです。
そんな中、ニケの祖国・「雨の公国」から一通の文が届きます。
それはニケの育ての親でもある婆様が倒れたというもの。
気が気じゃないニケですが、「里帰りしたい」なんて言い出せる状況じゃないと一人で抱えてしまうんですね。
それにリビは気付いて。ニケを快く送り出してさらに自分もあとを追いかけることに。
良かったです。
この作品、今まで「ニケがリビを気にする」って構図ばかりだったので、逆っていうのはちょっと新鮮だし、リビが成長したんだな、と。
【第12話 雨の公国】、
【第13話 世界にふたりだけ】、
【第14話 正しい国】は雨の公国編。
リビとニールが雨の公国に到着し、歓迎を受け、婆様にはめられる話。
危篤のはずの婆様でしたが、実際はただのぎっくり腰。
リビたちは大歓迎を受けます。
が、それだけで終わる訳がなく。
ニケは従兄弟のキトラにより、捕らえられてしまいます。
キトラとニケは婆様のもとで兄弟同然に育てられたんだとか。
王族の中でも珍しい異端児だったという2人。
雨の公国「アメフラシ」の一族において、雨を全く呼べないってのは確かに異端なんでしょうね。
同じ立場だったからこそキトラはニケを尊敬しているんだとか。いやもう崇拝の域に達しているらしいんですけどね。
恋心もあったんだと思うんですよ。
でも、一見そうは見えないんですがニケも王族です。
正式ではないものの許婚がいて、その人と結ばれることが暗黙の了解のうちにあり、それは仕方ないことだと諦めていたんだろうな。
でも、実際にニケを娶ろうとしているのはぽっと出の子ども。
阻止する手段があるのですから、キトラがそう動くのはわからないわけじゃないな。
婆様が実効支配している雨の公国。
基本的に婆様の言うことには逆らえないようなんですが、ニケの姉・カラの手を借りリビは婆様のもとへたどり着きます。
婆様はニケが大国に武力として利用されることを懸念して行動を起こしたよう。
ニケのいる塔の鍵を沼へ落とし、ニケとリビの間を引き裂こうとするんです。
リビは鍵を探そうと沼へ飛び込むわけですが、婆様の呼んだ雨で沼の水かさを増していきます。
満水だとリビの身長以上の深さになるという沼から1本の鍵を探すことが出来るのか――ってところで次巻へ続きます。
この沼に投げ捨てられた鍵はきっと偽物なんでしょうね。
婆様の懐から本物が出てくるんじゃないかな?
今まで、ニケが試され続けてきました。今回はきっとリビが試される番なんでしょう。
そして、雨の公国の王族たちも試されているんでしょう。
というのも、前述の通り雨の公国を支えているのは婆様。精神的なよりどころなわけです。
「婆様」という呼び名の通り、今回の危篤の知らせは嘘だったとはいえ、いつそれが本当になるとも知れぬ年齢なわけです。
しかしながら、王族たちは肝心なところで自ら考えることをしようとせず、婆様に従うことが全てになっているんですね。
「婆のやる事はいつも正しい」というキトラのセリフが全てを表していますよね。
それをどうにかしたかったんじゃないかな?、と。
これだけ語って外れていたら恥ずかしいな。
次巻の発売は来年春頃とのことです。
[5回]
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