窓から逃げた100歳老人/ヨナス・ヨナソン(訳/柳瀬尚紀)
お祝いなんてまっぴらごめん!
100歳の誕生日パーティの当日、アラン・カールソンは老人ホームの窓から逃走した。ひょんなことからギャング団の大金を奪ってしまい、アランの追手は増えていく。けれども、当の本人はなるようになるさととこ吹く風。
それもそのはず、アランは爆弾つくりの専門家として、フランコ将軍やトルーマン、スターリン、毛沢東ら各国要人と渡り合い、数々の修羅場をくぐりぬけてきた過去の持ち主だったのだ。20世紀の歴史的事件の陰にアランあり!
過去と現在が交錯するなか、次々展開するハチャメチャ老人の笑撃・爆弾コメディ、日本初上陸!
図書館で借りてきました。
もうタイトルからしてどういうことなのかと気になって仕方ありませんでした。
ストーリーとしては、あらすじにもある通りひょんなことから大金を手に入れてしまった老人・アランが追手から逃げながら仲間を増やしていく様が、過去のアランの体験と交互に描かれています。
読み進めていってうーん?と。
帯に『史上最高(齢)ヒーロー誕生!』ってあるんですね。
で、私の中でヒーロー=悪を倒す、例えばウルトラマンとかアンパンマンとか、戦隊ものでもいいです。とにかくそういうイメージがありましてね。
まあ、ヒーローの中にはダークヒーローなんかもいるでしょうが、それでもそれは一部例外というやつとでもいいましょうか。
それゆえに、結構序盤でついうっかり追手を殺してしまっている姿にどうも納得ができなかったんです。
読み進めていってこのヒーローは『悪を倒す存在』という意味のそれではなく、ただ単純に『男性主人公』という意味だったのかな、と。
それならまあ納得、かな。
正直、うっかりといえども人を殺すことにまったく罪悪感を覚えず、かつ積極的に人を殺す様を笑って読み進めることはできませんでした。
笑えたのは終盤の検事さんとのやりとりぐらい。
読者は今までアラン老の経験を読み進めていますから、それが本当であることを知っています。
けれど、それを知らない検事さんからするとそれらはボケた老人のたわごとでしかなく、しかも自身の名誉を守るためのタイムリミットのせいでたとえ話が気になったところで具体的に聞くわけにはいかなくて。
大混乱に陥る検事さんの様はちょっと面白かったです。
歴史的事件の裏で意図せず暗躍、世界の指導者たちと対面していたアラン。
彼の人生は数奇なものだったのでしょう。けれど持前の「なんとかなるさ」精神で乗り越え続けてきたわけです。
年齢的にも彼の最期はもうすぐでしょう。
けれど、きっと最期まで彼は世間を人知れず騒がせ続けるのでしょうね。
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