ゴミと罰/ジル・チャーチル(訳/浅羽莢子)
ジェーンの朝は、三人の子供たちを起こして回ることから始まる。裏庭恐怖症の飼い犬君にはえさ、えさ。平凡は一日? でも、今日はいつもと様子が違う。お隣で、掃除婦さんが掃除機のコードで首を絞められ、殺されてしまったのだ。おまけに疑われたのは近所の主婦一同。わが家を守るため、ジェーンは探偵役を買って出たが……。
アガサ賞最優秀処女長編小説に輝く期待の本格ミステリ!
ネットで中古を購入したら帯付き初版が届いてびっくりしました。
この本、91年の発売なんですが、そこそこ綺麗なのにもびっくり。
アメリカの郊外、住宅街のとある一角を舞台に物語は進みます。
主人公であるジェーンは、未亡人にして3児の母。
子供たちの送り迎えや家事に翻弄されながら、夫を失った悲しみを少しずつ癒しているところだったのです。
そんなある日、日常をぶち壊す事件が起こるのです。
事件が起きたのはなんと隣家。
隣家の客室で掃除婦が殺されていたのです。
自分たちの安心のために、ジェーンと隣家の主婦・シェリイは二人でああでもないこうでもないと話し合いながら犯人探しを行うことになっていくのです。
訳者あとがきで『ドメスティック・ミステリ』とジャンルづけられているんですが、これって当時のいい方なのかな?
ようはコージーミステリーなんですが、どちらも限られた小さな範囲で起こる事件という意味では同じ意味ですね。
(殺人が起きてしまうので『日常の謎』というのは、ちょっと違うかも)
何というか、読んでいてハラハラしてしまいました。
ジェーンは、事件が起こるまではただの主婦でした。
多少、ミステリーに親しんでいるような様子はありましたけど、ただそれだけです。
そんな主婦が自分たちも警察も近所の住人が怪しいと思っているのにも関わらず、無神経なほどにグイグイ迫っていってしまうんですね。
犯人にぶち当たったらどうなってしまうのか、とジムおじさんじゃなくてもハラハラしてしまいます。
タイトルがドストエフスキーの『
罪と罰』を意識しているのは一目瞭然ではありますが、こちらは『ゴミと罰』。
どこまで行っても日常からは逸脱しないあたりはさすがだなぁと思います。
どれだけ不安に思おうが、事件やそれ以外のもので頭がいっぱいになろうと子供たちのことを考え、お迎えやらはきっちりこなすあたりはすごい。
この作品、シリーズとして十数冊刊行されているようです。
今回1冊しか購入しなかったんですが、またいつか続きを読んでみたいかも。
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