怪物王女 20/光永康則
王を継ぐ闘争、その終幕。
闇に棲むもの、怪物。
怪物たちを統べるもの、王族。
第二王女・姫は、次なる王を定める争いの渦中にいる。
姫より血を授かり半不死身となった少年ヒロは、血の戦士として戦いに挑むことになる。
紅い大蛇が支配する街。
時空を超えし、最終決戦。
立ち塞がる、最強の敵。
姫と血の戦士たちの永き闘争についに撒くが下ろされる。
長々と紹介してきたこのシリーズも今回で最終巻です。
いやー長かったです。
【第84話 臨界王女】
【第85話 召喚王女】
【第86話 王女王女】
【第87話 怪物王女】
が収録されています。
【臨界】が単独で、あらすじにある「紅い大蛇」の話ですね。
【召喚】【王女】は最終決戦、
【怪物】はエピローグ的な話になります。
【臨界】は雑誌掲載時カラーだったらしく扉絵には今回の王位争いに参戦した王族が全員集合しています。
……正直、
サリエリ王子(姫とヒロが出会う前に脱落)の存在はすっかり忘れてました。
この話はまあ怪物王女らしい話でしたね。
最終決戦は、予想通り姫とシルヴィア王女によるものでした。
まさか、精神世界での戦いになるとは思いませんでしたがこの2人が戦うことになるのは納得です。
決着のつけ方にはびっくり。
【王女】の冒頭でいきなり
7巻の
【千年】の失敗ルートの描写がされるんですね。
あれ?となりつつも、話は普通に進んでいくんです。
伏線というにはあからさま過ぎましたが、これが姫が勝つための大事な布石となるわけです。
フヒト王子(結局シルヴィア王女に負けて統合されたらしいです)によると
「お前たち(姫とヒロ)の存在はどこか強さに欠ける」と。
何故欠けてしまったのかというと、
【千年】や何度も描かれた9年後の世界の話など姫は何度も時を超えていました。
成功ルートが現在の姫に繋がっているわけですが、いくつものバットエンドルートにも姫が存在していた訳です。
そしてそれが「欠けた強さ」の正体でした。
炎の戦士と化したヒロがそんな姫を迎えにいくことで姫は本来の強さを取り戻し勝利をつかみます。
が、現実世界では姫は消えてしまいます。
そのことにより王位争いは一応の決着を見せます。
勝者は一人生き残ったシャーウッド姫。
けれどイコールしてシャーウッドが次代の王になるわけではないよう。
何年後になるかはわからないけれど、今度はシャーウッドが長女として戦いに参加することになる、と。
この王位争いは、現王を倒せるものがあらわれるまで何度でも続けられるのでしょうね。
姫のいなくなったお屋敷にいつまでも皆は残っていません。
リザなんかは注意され続けていたにも関わらず、令裡と共闘していたものだから人狼社会から追われる身となったんだとか。
まあ、リザはそれすらも楽しみそうですが。
ヒロは住み込みメイドの家族として屋敷にいたわけですから、まあ職場がなくなれば引っ越し・転校も余儀なくされますよね。
新しいお屋敷には見慣れた顔が揃っていました。
姫曰く、最後の闘いでシルヴィア王女と王族としての力を相殺してしまったらしく完璧に王族としての力を失ってしまったんだとか。
つまり、姫は王族ではなくなり、この戦いから解放されたということ。
ここで姫の名前がようやく明かされます。
リリアーヌ・フォン・フェニックス。
彼女たちはこれからも不可思議な現象に巻き込まれながらも生きてゆくのでしょうね。
寿命とかどうなってるのか訳わかんないですけど、まあ気にしちゃダメですね。
ぶっちゃけ、最後のブッチーのくだりは必要だったか疑問です(笑)
なんだかんだと媒体に選ばれることが多かったからか、ブッチーにも不可思議な力が宿る訳ですがほっといていいのかな。
巻末漫画は
南Q阿伝に移籍みたいなことが書かれてますが、わざわざそれだけのために買う気にはなれないので、この方の作品の紹介はこれでおしまいになりそうです。
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