それでも世界は美しい 5/椎名橙
砂の皇国・皇太子に披露したアメフラシが、厳しい反応を受けてしまった。
彼らの口から語られたのは、ニケが初めて知る皇国の現状。
リビを置いて、ひとり皇国に乗り込んだニケは人々を笑顔にし、太子・イラーダの心も潤していくが…!?
先日購入してきた1冊さっそく読みました。
何故かちゃんとした表紙が出ないんですが、現物は夕焼けをバックに硬い表情のニケと、ニケを気にするような表情を見せる太子が背中合わせに立っているものです。
【第21話 ある決意】
【第22話 砂の皇国】
【第23話 光の中】
【第24話 ハイパーサーミア】
【第25話 帰るところ】
【第26話 いらえなき問い】
が収録されています。
今巻は前巻から続く「砂の皇国編」です。
いつも、「展開が読めてもう買わなくてもいいかも」とかいってるこの作品なんですが、今回はおもしろかったです。
いや、相変わらず展開はなんとなく読めるんですけどね(笑)
単純に私がこういうNTRというか間男登場みたいな展開が好きなだけなんだと思いますが。
前巻の引きで太子たちが激怒したのは大方の予想通り。
"砂"の皇国の名の通り、国土のほとんどは砂漠。そしてここ100年ほどで少雨化が進んでいるんだとか。
だからこそ、ニケのアメフラシは渇望するもの。あのように、パーフォーマンスにされてはたまったもんじゃないんですよね。
太子たちはニケの無知を許すわけですが、無知だから何をやっても許されるわけじゃない、とニケは太子たちに同行して、砂の皇国へ乗り込みます。
すごくニケらしいな、と思う一方で、リビももうちょっと考えろよ、とちょっとイラッとしてしまいました。
というのも、ニケはアメフラシの技とその性格で、砂の皇国の民たちに快く受け入れえられます。
まあ、そうだろうな、ってのが正直な感想です。
ニケって温室で大事にされる子じゃなくて、野で丈夫に育つ花ってイメージなので晴れの大国より砂の皇国の方が似合っているのは確かです。
ニケのアメフラシは、砂の皇国では本来の力の何分の一程度しか発揮できなかったんですが、それでも「奇跡の業」なんですよね。
さらには色々と背負いすぎている太子を支えることの出来る稀有な人物として太子の部下たちにも「太子のもとに残ってはくれまいか」と求められるようになるんですね。
太子自体もニケに思いを寄せるようになるのも自然なことといってもいいでしょう。
で、いろいろと偶然が重なって、かなり強引な手をつかってニケを大国に帰すまいとするわけですよ。
ニケはファラハに出引きされて逃げ出そうとするわけですが、まだ逃げ切れてはいません。
太子の過去も語られているのですごく真面目で優しいがゆえにがんじがらめになってしまったんだとは思うんですが……。
で、私がリビにイラついてるのはこの展開が読めなかったのか、ってこと。
出立前の2人のやりとりを見ていると、リビは砂の皇国の現状をある程度は知っていたよう。
ならばそんな国にニケが赴いたら、その力を求められることになるのは簡単に予測できたでしょう。
太子を信頼していたのか知りませんが、ニケを一人で同行させたってことにすごいツッコみたい。
誰か信頼のできる部下つけようぜ!?って思ったんですが、よくよく思い出したらリビに信頼できる部下が少なすぎるんですよ。
リビの部下(?)としてまともに登場しているのがメガネの兄ちゃん(名前忘れた)とバルドウィン(叔父)しかいないってのが問題なんですよ。
まるマでいうヨザックとか、
赤髪の白雪姫でいうオビみたいな腕のたつ信頼できる部下がいればまた話は変わっていたんじゃないかな、なんて思ってしまいました。
まあ、そんなこといっても仕方ないんでしょうけどね。
ニケ行方不明の報を受けてリビもまた砂の皇国へ、というところで今巻は終了。
次巻の発売は今年冬。次は絶対買います。
[2回]
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