目隠しの国 1/筑波さくら
時折『目隠し』が取れたように触れた人の“未来”が見えるかなで。偶然知った親友の未来を変えようと頑張るが、いつでも“過去”が見られるあろうは乗気じゃなくて…? あろうの危惧は一体――!? TOMORROW NEVER KNOWS? 「目隠しの国」収録の初コミックス!!
なんか今月は少女漫画率が高い気がします。
でも、妹に言わせると私の持ってる少女漫画は「ふつうの少女漫画じゃない」そうです。
そう言われて考えてみたら、「ふつうの学園ラブコメ」とかない気がします……。
主人公が少年だったり、超能力やらファンタジー要素盛りだくさんな話ばっかだなぁ。
さて、本編の感想を。
表題作
「目隠しの国」3話と読切2本
「まつりのあと」「間違える男」が収録されています。
あらすじにもあるとおり、この作品には過去や未来を見ることができる少年少女が登場します。
「目隠しの国」というのはその能力の説明の時に使われる比喩です。
ふつうは目隠しで見えないはずの未来や過去。
かなでっちゃんは何かの拍子にずれて未来が、
あろうくんは目隠しをなくしてしまったからずっと過去が、
並木さんは自らの意志で目隠しを外すことができるから未来が、
それぞれ見えるということらしいです。
未来が見えるからこそ、未来を変えようとするかなでちゃん。
「予知して未来を変える」というと、初期の
エニグマのスミオを思い出しました。
スミオもかなでっちゃんも未来を変えているのですが、スミオは感謝されるのに対して、かなでっちゃんは感謝されるということはない。
まあそうですよね。
スミオの行動の結果は「パスワードが見つかる」という助けられた側の目に見えるもの。
一方、かなでっちゃんの行動の結果は助けられた側の目に見えないんですよ。
並木さんとの出会いが1番わかりやすいかな。
かなでっちゃんはこのまま進めば車にひかれるとわかっておじさんを止めた。
でも、おじさんは赤信号に捕まってしまって遅れそうになるわけです。そして信号にひっかかる原因となったかなでっちゃんを怒る、と。
それでもわかっていて、未来を変えないってことはかなでっちゃんには出来ないんですよね。
そして今まで過去や未来が見えたからって何をしようとしたわけじゃなかった男たちに影響を与えていく、と。
こういう1蕃弱い存在が周りを変えていくって話好きだなぁ。
ぶっちゃけ、あろうくんが1番辛いのではないかと思います。
かなでっちゃんと並木さんが見るのは未来。まだ起こっていないことだから変えることができる。
でも、あろうくんが見るのは過去。どうあがいたところで起こったことは変えられない。
それでもあろうくんがあれだけ明るいってことを考えるとすごいです。
江沢くんとエリちゃんの関係が結構好きです。
江沢くんにとってエリちゃんみたいにガツンと言ってくれる子は新鮮で大事なんだろうな。
「まつりのあと」は体育祭の最中とその後を描いた話。
携帯ではなく公衆電話を使ってるあたりに時代を感じます。
その後がなんとなく想像できる話って好きです。
「間違える男」はいろいろと間違える男女を描いた話です。
けっこうありがちなネタなんですが、ちょっと悲しい。
たいていこういう幽体離脱(?)ネタって、意識が戻ったときに幽体離脱中の記憶がないか、記憶があって元気になったあと会いに来てくれるかじゃないですか。
この話はそうじゃないんですよね。
ずっと待っていた彼氏はすごいのかもしれないけど、藤崎くんの気持ちを考えると切ない気分になりました。
筑波さんの作品、一通り持っているのでこれから少しずつ紹介していきたいと思います。
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