七つの封印 10 月の妖魔/カイ・マイヤー(訳/山崎恒裕)
ギーベルシュタインの北側に見える線路の土手。その線路は、もう半世紀も前から廃線のはずだった。
なぜかそこに、貨車のようなものどっかと腰をすえている。
貨車にしてはあまりに奇妙な黒いかたまりだ。
クリスとリーザは恐る恐る近づいてみる。
ふたりでする初めてのデート……リーザの胸はときめく。
濃い霧の中でふたりはきつく手をにぎりあった。
その先、まさかそんな恐ろしい展開が待ちうけているとは夢にも知らないで……。
図書館で借りてきました。
これでようやくこのシリーズも完結です。
今回の敵は影とでもいえばいいんでしょうか。
4巻で月へ送り返した「月男」が再び登場します。
4巻の最後で誓っていた復讐をしにやってきたわけですね。
半ば義務的に意地で月1で読み続けてきたこのシリーズ。
前々から巻の終わり方がおかしいというか、「え、これで終わり?」ってなるシリーズだったんですが、これはひどい。
このシリーズにおける主人公は4人の少年少女、キラ、クリス、リーザ、ニールスのはずだったんですが、今回活躍しているのはクリスとリーザだけ。
ニールスは水疱瘡で寝込んでいて、キラは途中で足を捻挫してしまい物語の本筋から退場してしまうんです。
主人公は4人とはいえ、メインとなるのは明らかにキラだったはずなのに、最後は置いてけぼりってどうなの?って感じ。
最終巻だからこそ、4人みんなで敵に挑むか、でなければキラをメインに据えるべきだったんじゃないかと思いました。
そういう意味では正直、
9巻と10巻を入れ替えた方が終わり方としてはよかったような気がします。
9巻も終わり方という意味では微妙でしたが、今まで謎だったキラの母親の話と
外伝が繋がる話だったわけですし。
まだマシだったとは思うんですよねー。
というかキラは前回、異世界へ行き来した際に自身の影を失ってしまったらしいんです。
そしてキラはそれを気にしていない上に、意識してか無意識なのかデーアのあとを追うことになりそうです。
前々からその傾向はあったんで、個人的にこの作品の終わりは、4人にある七つの封印がキラ1人だけのものになるとかそういうことになるのかな?と思っていたんです。
キラは魔女として目覚め非現実的な出来事にどんどん関わっていき、残り3人は現実世界へ戻ってくるとでもいえるでしょうか。
けど、そんなことにはならなかったですね。
七つの封印は4人にあらわれたままだから、4人はこれから先も魔物たちに狙われ続けることになるのでしょう。
1冊単位で見てもシリーズとして見ても起承転結が少なく盛り上がりにかけたのが非常に残念でした。
正直、巻を進めるごとにおもしろみが減っていったような気がします。
特別な力を持たない少年少女が自分たちの知恵と勇気だけで問題を解決していくというのは題材として悪くなかったんですけどね。
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