吟遊詩人の魔法 上下/イラマ・C・マイヤー(訳/鍛冶靖子)
かつてエイヴァールでは、吟遊詩人の学院の<視者>たちが魔法の力をふるい、強大な権力を握っていた。だが<視者>の一部が禁断の魔法に手を染めたために争いがおき、学院は弱体化し、吟遊詩人の魔法は失われてしまった。そして年月が経ち、都では最も優れた吟遊詩人を選ぶための競技会が開かれようとしていた。秘められた魔法と陰謀。吟遊詩人の戦いを描く本格ファンタジィ。
競技会を前に、都には吟遊詩人たちが集まっていた。優勝の呼び声も高いダリエンとマーレン、女ながらに吟遊詩人をめざすリン。そんななか、当代最高の吟遊詩人ヴァラニル・オクーンが姿をあらわし、宮廷詩人に牛耳られた現政権を糾弾する歌を、人々の前で歌う……。友情と裏切り、血の呪術、秘められた来い。マキリップを思わせる、歌に満ちた世界を描きだす驚異の新人の話題作。
本が好き!を通じて出版社から頂戴しました。
本当に両者にさまさまです。
舞台は吟遊詩人がかつて魔法の力を持っていたエイヴァール。
その魔法の力は遠い昔に失われてしまったのですが、それでも宮廷詩人が権力を握り、12年に一度の競技会は大盛り上がり。
けれどそれと時を前後して、当代最高の吟遊詩人ヴァラニル・オクーンが現政権を糾弾する歌を披露し投獄されてしまうのです。
脱獄したヴァラニル曰く、現宮廷詩人のニッコン・ジェラルドは禁じられた魔法を使っているというのです。
ニッコンを止めるため、女吟遊詩人リンをはじめとした面々は過去に失われた魔法を求め旅をすることになる、というお話。
とはいえ、群像劇めいた話でもあるので、スポットライトがあたるのはリンだけではありません。
競技会の優勝者にして、過去のパートナーでありリンと行動を共にするダリエンを追う裏切者でもあるマーレン。
都の大商人の娘ながら、様々なことが重なり苦労を重ね、さらに物語の中心へと巻き込まれていく少女・リアンナ。
あたりがメインといえるでしょうか。
その他、リアンナの婚約者のネッドあたりにもそこそこスポットがあたります。
ごめんなさい。
正直、そこまでのめりこめませんでした。
結局、魔法って何なのか理解しきれなかったというのもあるし、メインであろう女性二人のどちらにも感情移入できず、そのうえ「こいつ結構好きかも」と思ったキャラにことごとく死なれてしまいまして(笑)
それでもただの令嬢でしかなかったリアンナの変貌には目を見張るものがありましたし、リンの身の振り方には驚きました。
リンの夢はかなっているわけですが、こういう夢の叶い方は不本意ではないのだろうか、とも思ってしまいました。
いつかもう一度ゆっくり読み直したいです。
作者デビュー作であるこの作品、どうも3部作の1冊目にあたるらしく。まだ2作目が発表された、ってあたりのようですがどのような展開になるのかちょっと気になります。
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