朝のひかりを待てるから/アンジェラ・ジョンソン(訳/池上小湖)
人生をさかさまに生きられたら、人はもっと幸せなのに……。
コレッタ・スコット・キング賞
マイケル・L.プリンツ賞受賞作
図書館でたまたま目についたので借りてきました。
それなりに古い本なのに、全然見た記憶がない本ってまだまだたくさんあるんですね。
主人公は16歳の少年・ボビー。
まだまだ遊びたい盛りの少年が、父となる様が描かれています。
娘のフェザーの面倒をどうにかこうにか見ている【いま】と、恋人のニアの妊娠を知り子どもが産まれるのまつ【あのころ】が交互に語られるのですが、フェザーの世話をするボビーのそばにニアの姿がなくいったいどういうことなんだろう?と首をかしげつつ読み進めていきました。
途中で養子縁組云々の話が出ているのに、ボビーがフェザーを育てていることにもどこか不穏な空気を感じました。
まさかそういう結末になるとは……と。
【いま】と【あのころ】以外に登場する【ニア】と【ヘヴン】。
【ヘヴン】は天国ではなく、地名なのですがそれでもその名前にはものすごく考えさせられます。
私はあまり読んだことはありませんが、少年少女の妊娠出産を描いた作品は多く存在すると思います。
けれど、それらのほとんどは母親となった少女の視点で語られるので少年視点というのは中々珍しいと思います。
作品自体も150ページもない短い作品です。
1時間、2時間あれば十分に読み終えることが出来る作品なのですが、淡々とボビーの心情が語られていることもあり真に迫るものがあります。
ただ、そうはいっても若い世代の妊娠出産で一番の問題になるであろう世間体や金銭的な問題等については特に触れられていません。
そこをファンタジーととるかは読者によると思います。
私個人としてはボビーの母親は心を鬼にして孫の世話を手伝うことをしていないのですが、金銭面ではそうでもないのかもしれないなーなんて思うのですが。
訳者あとがきによると、『
天使のすむ町』に登場するキャラクター・ボビーについてもっと知りたいという声に答えてこの作品は生まれたのだとか。
地元図書館にもこの本はあるようなので、機会があればそちらも読んでみたいですね。
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