虹色ほたる 永遠の夏休み/川口雅幸
一年前に交通事故で父親をなくしたユウタは、小6の夏休みに一人、父との思いでの地を訪れていた。よく一緒にカブトムシをとりに来ていた山奥のダム。今は使われていないそのダムで、ユウタは突然の雷雨に襲われ、足をすべらせて気を失ってしまう。
やがて目覚めたユウタの前には、一人の小さな女の子とダムに沈んだはずの村が……。タイムスリップした三十年以上前の村。 かけがえのないもう一つの夏休みのはじまりだった。
図書館で借りてきました。
去年、レンタルで見た
映画の原作になります。
ある夏の日、ユウタはダムに沈んでしまったタイムスリップしてしまいます。
ダムに沈むことが決まった村で最後の夏休みを過ごす少年たちの生と死の狭間を描く、奇跡の物語です。
アルファポリスから出版されていることからも想像はついたのですが、元々はネット小説だったようです。
作者が個人的に連載していた小説が書籍化、しばらくしてから映画化となったようです。
先に映画を見ているので大まかなストーリーは知っていたのでさらりと読むことができました。
ただ結構細部は違うんですね。
どうもさえ子のお兄ちゃんがすごく大人っぽくて高校生~大学生ぐらいの印象だったので、中学生だったことに驚きました。
そして、ヒロインであるさえ子の抱える闇。
原作ではその闇が少しずつ晴れていく様が描写され、ゆるやかな死を願っていたさえ子の心が変わっていき、自分から再会の約束をねだります。
どちらかというと、ユウタの方がさえ子の"今"の様子を知って生を願うことに躊躇いを覚えるほどなんですね。
けれど、映画ではその描写はなくユウタがさえ子に生を願わせるように尽力しています。
ここの違いってかなり大きいと思います。
また、ラストの"奇跡"が起きたシーン。
映画のラストは正直興ざめしてしまったんです。
タイトル通り、ほたるがキーとなっている作品なんですが、いくら"虹色"とはいえほたるはほたる。
あまりきらびやかに電飾のようにひかり輝いてさらにはダムの(水の)上を歩いてしまうのはなんだかなーと思ってしまったんですね。
ですが、原作程度の奇跡なら十分許容範囲内だと思います。
ただやっぱり気になるのは、ユウタとさえ子の年齢差が過去と変わらないのにも関わらず、ケンゾーだけ世代が違うこと。
これからいい関係を築いていけるんだとは思うのですが、それでもケンゾーだけひどく年上なのがちょっとな、と。
まあ、誰も過去の体験を知りませんからそこは深く考えても仕方ないんでしょうけどね。
うん。中々楽しめました。
同作者の作品はもう1冊地元図書館にあったんですが、そちらは多分読まないかな?
いつか気が向いたら読むかもしれませんが、今のところは読むことはなさそうです。
[3回]
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