愛蔵版 蛍火の杜へ/緑川ゆき
蛍火の杜へ/緑川ゆき
妖怪たちが住むと言われる"山神の森"へと迷い込んでしまった少女・蛍。泣き出してしまった彼女の前に、突然姿を現した一人の青年…。決して触れることのできない、その彼への恋心は――!? 四季が織りなす、切なさいっぱいのラブロマンス♡ 待望のコミックスついに登場!!
もうとっくに紹介していると思ったのに、実は未紹介だったようです。
自分でもびっくりしました。
元々通常コミックスで発売されていたのですが、
映画化した際に、愛蔵版が発売されました。
蛍火って実は短編なので、どちらも短編集になるのですが、通常版と愛蔵版って実は収録作品が違います。
通常版には表題作含む4作が収録されています。
『花唄流るる』はギターを通じて思いを寄せていく2人を描いた作品。
腕を怪我したことで細かな動きが出来なくなった少年が、ヘアピンを拾おうと奮闘する様に心打たれました。
『くるくる落ち葉』は緑川さんにしては珍しいちょっとポップな作品。でも忍者はちょっと違和感がありました(笑)
『ひび、深く』は両親の都合で翻弄される兄妹の話。ある種悲恋ですがこればかりは仕方ないのかな。
『体温のかけら』は関係性が変わることに怯える幼なじみのお話。
『星も見えない』はお調子者の青年が恋した少女の事情ゆえに中々うまくいかなくてすれ違っていくお話。
の2作と
『蛍火の杜へ』と
『特別篇』。さらに映画のビジュアルポスターが愛蔵版に収録されています。
『蛍火の杜へ』は、祖父の家へ遊びに来ていた少女が妖怪の住む山神の森へ迷いこみ、そこに住むギンという妖と知り合い、毎年交流していく様が描かれています。
ギンは元々人だったものの、力が弱く人に触れられると消えてしまう儚い存在で、けして触れ合うことが出来ないもののお互い思いを寄せ合っていくのですが……。
もうね、ラストは思わず涙します。
めちゃくちゃ切ない。
もうちょっとどうにかならなかったのかと思うのだけれど、どうにもならなかったのだろうなとも思うのです。
『特別篇』は蛍が何歳ぐらいかな?
最後の夏から数年前ってところだと思うのですが、蛍と同じもの一緒に味わいたいと奮闘する様が描かれています。
ギンもギンの周りにいる妖たちも優しいだけに悲しくなるお話でした。
ラストはどうしても素直に喜べないのですが、それでも二人にとってこの終わり方は良かったのかなとも思います。
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