言葉屋 言箱と言珠のひみつ/久米絵美里
小学5年生の詠子のおばあちゃんのお仕事は、町の小さな雑貨屋さん。
……と思いきや、本業は、
「言葉を口にする勇気」と「言葉を口にしない勇気」を提供するお店、言葉屋だった!
言葉屋の成り立ちと使命を知ることとなった詠子は、その夏、言珠職人の見習いとして、おばあちゃんの工房に入門する――。
図書館で借りてきました。
この本を読むきっかけはAmazonのおすすめ商品だったりするので意外とバカにできません(笑)
【第一章 言葉屋工房入門】
【第二章 「お世話になります」のつめ合わせ】
【第三章 オシャレ戦争】
【第四章 一言惚れにご用心】
が収録されています。
章立てされていますが、実質短編集なので気軽に読めると思います。
物語は帯にもある通り、詠子とそのおばあちゃんが営む言葉屋がメイン。
とはいえ、言葉屋については本当にさわりしか触れられていないので、ほぼほぼ詠子の学校生活の方が主に据えられています。
『言葉屋』とはなんぞや?って感じですが、おばあちゃんの説明によると、言葉を口にする勇気をつかさどる言珠と、言葉を口にしない勇気をつかさどる言箱を取り扱っているのだとか。
ベネチアングラスがルーツの言箱と言箱を材料に作られるとんぼ玉のような言珠はとてもきれいに描写されています。
けれど、言葉というのは人を傷つける凶器にもなりえます。
そういう一面もあるという説明もされていますが、詠子がそういうものに触れるのはもっと後のことになるのでしょうね。
【1章】は言葉屋に入門することになるきっかけ、
【2章】ではある意味現代らしいお客さんの話、
【3章】【4章】ではクラスの様子が描かれています。
クラスの女子が始めたテーマを決めて毎日おしゃれをするということ。
確かにオシャレをすることは身だしなみの一種なのでしょう。でもたくさん服を持っていることが"正義"となってしまった
【オシャレ戦争】はクラスをギスギスさせてしまいます。
それを新たな火種になる可能性はあったとはいえ、上手におさめてみせた詠子。
そんな詠子に寄せられた賞賛の言葉が書かれた「言葉の首飾り」。
そこから始まる本の貸し借りの間に挟まれる手紙のやりとりにはもう読んでいてニヤニヤしてしまいました。
今時、小学生でもLINEやらなにやら使うからこういうことって実際はないんだろうなと思いつつ、読んでいてとてもかわいい。
途中どうなるのか、とハラハラしてしまいましたが、丸く収まってよかったです。
クラスメイトで親友のしぃちゃんもかわいいし、書道教室のお家の須崎くんが持つ言珠紙も気になるし、この子たちの様子をまだまだ見たいなと思ったのですが、どうやら続編が何冊か出ているようです。
折を見てまた借りてきたいと思います。
[3回]
COMMENT