弥栄の烏/阿部智里
断末魔のような悲鳴が響き渡った――
未曾有の大地震が山内を襲い、禁門の扉がひらく。
失った記憶を必死にさがし求める日嗣の御子・若宮。
真赭の薄は、浜木綿の決意に衝撃をうける。
宿敵・大猿との最終決戦がついに始まったその時、八咫烏の軍を率いる参謀・雪哉のとった作戦とは。
壮大な世界の謎が、いま明らかになる!
八咫烏と猿、最終決戦。
若宮の記憶は戻るのか
大ヒット和風ファンタジー完結
購入されているのは知っていたのですが、何かとタイミングが悪くて。
今回ようやく図書館で借りてくることが出来ました。
今回もいつも通りといっていいでしょうか。
前作
玉依姫の八咫烏側のストーリーになっています。
この作品を読むことでようやく、なぜ山神の配下に八咫烏がついていたのか。
さらに、若宮や山内衆といった面々はまあともかくとして、神域に真赭の薄がいた理由などが明らかになります。
ずっと言われ続けてきた『真の金烏』が持つという初代からの記憶。
それがないゆえに、若宮は真の金烏として認められず即位できずにいたのですが、今回それがようやく解決します。
さらには猿たちとの戦いにも決着がつきます。
ラスト、大猿が若宮に求めたこと。
そして、それに対しての大猿の行動は読めました。むしろなんで若宮は簡単に大猿の話を聞いてしまったのか。
まあ若宮も大混乱の最中だったでしょうし、仕方のないことなのかもしれませんが。
私ずっと言っているんですが、このシリーズで一番好きなキャラクターは雪哉です。
今回、雪哉がたくさん登場してはいるんですが、なんというかな。
可愛げがなくなったというか、擦れてしまったというか。
きっと、雪哉が軍師であろうとしているがゆえのことなんでしょうが、ずっと気を張っている様子が見ていて痛ましい。
それゆえにラストでそれがほどかれた様子には安心しました。
……でも、茂さんの存在が大きなものだったことを思うと、今後の雪哉が心配ではあります。
ゆるやかに破滅していくことが余儀なくされた山内の世界。
若宮がただの烏になるまで、最後まで見届けたいものですね。
今回、『完結』の文字があるのですが、前巻ではそれに『第一部』の文字があったので『第二部』があるものと信じています。
現在は外伝が発表されつつあるようですから、そちらの書籍化も楽しみにしつつ第二部を待ちたいと思います。
それまでに1巻から読み返したいものです。
[0回]
COMMENT