烏に単は似合わない/阿部智里
八咫烏が支配する世界山内で始まった日嗣の御子たる若宮の后選び。
春殿のあせび、夏殿の浜木綿、秋殿の真赭の薄、冬殿の白珠。
大貴族四家から集められた四人の姫は陰謀や恋心を胸に美貌と才気を競い合う。
だが肝心の若宮不在のまま次々と事件が起こる。
后に選ばれるのは誰……?
后の座を巡る姫君たちの熾烈な争い(バトル)
八咫烏が支配する世界で始まった、世継ぎの若宮の后選び。
宮廷に集められた四人の姫それぞれの陰謀や恋心が火花を散らす。
だが肝心の若宮が一向に現れないままに次々と事件が!
失踪する侍女、後宮への侵入者、謎の手紙……。
后選びの妨害者は誰なのか? そして若宮に選ばれるのは誰なのか?
図書館で借りてきました。
松本清張章受賞作らしいです。
先月紹介した「
烏は主を選ばない」の前作に当たります。
前作といいつつも、作中時間軸は同じです。
「主」の方が若宮サイド、若宮の近習である雪哉視点で物語が進むのに対し、こちら「単」の方は姫君たち視点で進みます。
メインとなる登場人物は、表紙にもなっている4名の姫君。
表紙左上の東家二の姫、春殿のあせび、
表紙右上の南家一の姫、夏殿の浜木綿(はまゆう)、
表紙右下の西家一の姫、秋殿の真赭の薄(ますほのすすき)、
表紙左下の北家三の姫、冬殿の白珠(しらたま)。
彼女らが若宮のおとずれを今か今かと待ちつつ、家も絡んだ権力争いに関わる駆け引きしつつの1年を描いた物語です。
読み終わった感想としては、「女って怖い」でした。
1年の間の出来事が描かれているだけあって、作中でも姫君たちの印象が変わっていくんです。
白珠の話には思わず泣いてしまいました。
はじめ、おとなしそうに見えて怖い女というイメージが先立っていたんですが、背景がわかるともうやばかったです。
というか、「主」の方読んでるのに騙されてしまったのがすごく悔しかったです。
怪我したって話はあったけど、確かに死んだとはなかったと思うんだよなぁ。
白珠に限らず、はじめは高慢なイメージがあった真赭の薄も話が進むにつれ、普通にいい人であったことがわかりましたし。
この作品、時々他の姫君視点になることもあるんですが、基本的にあせびの視点で進んでいくんです。
それだけに種明かしには驚いてしまいました。
無意識とは違うかな。他者の優しさに寄生しているとでもいうのか。
幸せになるために、他者の幸せを壊さざるを得ない「性質」とでもいえばいいのか。
うーん、怖いです。
今のところ、この方の作品は「単」と「主」の2冊のみ。
どちらも読み終わってからタイトルを確認すると「なるほど」と思わされるのでそれは単純にすごいですよね。
3冊目の予定はあるようですが、まだ発売はされていないようです。
発売後、図書館で見かけたら借りてきたいと思います。
[0回]
COMMENT