スイス時計の謎/有栖川有栖
二年に一度開かれていた“同窓会(リユニオン)”の当日、メンバーの一人が殺され、被害者のはめていた腕時計が消失! いったいなぜか……。火村の示した間然するところのない推理に「犯人」が最後に明かした「動機」とは。表題作ほか謎解きの醍醐味が堪能できる超絶の全4篇。ご存知国名シリーズ第7弾、これぞ本格だ!
実は3ヶ月ぶりの有栖川有栖さんの作品です。
しばらく読んでないなぁとは思っていたのですが、そんなにあいているとは思いませんでした。
『あるYの悲劇』
ダイイングメッセージもの。
ダイイングメッセージに対してありがちな問題――そんなわけのわからんダイイングメッセージを残すくらいなら云々ってやつ――はこれにはないです。
被害者が息絶える直前に尋ねてきた幼なじみに犯人を伝えようとしたってことなので。
これ
「Y」の悲劇というアンソロジーに収録されていたものです。
私これ持ってるなぁ。すっかり忘れてましたけど。
4篇収録されてるんですけどすごく豪華ですね。有栖川さんに篠田真由美さん、二階堂黎人さんに法月綸太郎さんと本格好きにはたまらない感じですね。
まあ、私二階堂さんとか法月さんとかあんまり読んだことないんですけど。
すごく納得してしまうダイイングメッセージでした。
そして漢字というか日本語って難しいよな、と思わされました。
『女彫刻家の首』
女性芸術家が殺害され、彫刻と首をすげかえられて発見される事件です。
これ、小説だからいいものの、実際に見たら気持ち悪いだろうなぁ。
犯人に関してはまあ、そこまで驚くべきことでもなかったです。
最後の後味はあんまりよくない感じ。
そして、そういや火村先生は無神論者であったなぁ、と。
ああいう天罰めいたものって火村先生には許せないんだろうな。
『シャイロックの密室』
犯人視点とアリス視点がある話。
これはタイトル通り密室もの。
はじめアリス視点なのかと思ってびっくりした。
だっていきなり銃を突きつけてる男と突きつけられてる男の描写からはじまるんですよ。
いったいどんな状況なんだ!?と。
実際は犯人視点だったから起きたことだったんですけどね。
MRIの仕組みなんて全く知らなかった(というか興味ない)ので、へえそうなんだと。
専門家でもなければこれのトリックはなかなか見抜けた人っていないのではないでしょうか。
『スイス時計の謎』
アリスの同級生が殺され、何故か時計がなくなっていた話。
表題作です。
フーダニットであると同時にホワイダニットも兼ねてます。
論理的に可能性を消去していくのですが、頭があまり働いてないときに読むもんじゃないです。
無駄に時間かかる。
アリスの同級生たちが登場し、アリスが小説を書くにいたったきっかけを作った少女のその後が少しだけ明かされています。
名前すら明かされない彼女は今度登場することはあるのかな?
アリスの根底は高校生のあの日からあまり変わっていないのだろうな。だから、ああも揺れてしまうのでしょう。
「偽美少女アリス」にはちょっと笑ってしまいました。
そうだよなぁ。“アリス”って名前だけならそういう想像を掻き立てられるのもわからなくもない。
事件の終わったあと、火村先生に問い詰められているといいよ、とか思ってました。
誰かそんな話書いてないですかね?今度探してみよう。
おもしろかったです。
作家アリスシリーズも残り少なくなってきたので、学生アリスシリーズもそろそろ読もうかな。
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