新ほたる館物語/あさのあつこ
一子は、雪美ちゃんや柳井くんと一緒に、この春六年生になる。だけどまだ小学生だ。毎日ほたる館でいろいろな人を見てはいても、大人が、よくわからない。
突然特別室に予約を入れた一条さんもそう。身なりはしっかりしてるのに、なんとなく変な感じがする。おばあちゃんの曇った表情も気にかかる……。
多感な少女の成長を一年を通じて描く著者デビュー作シリーズ、ついに完結。
<解説・菅聡子>
前巻を紹介したのが2月なので、けっこう間があいていたのですね。
あらすじにもあるとおり、これで「ほたる館物語」は完結らしいです。
といっても、いつか続きが出てもおかしくないような内容でしたけど。
今回は春休みので出来事が描かれてます。
なので、ほとんどがほたる館の中でのやりとりです。
まあ、柳井くん家にいったり駅へお迎えにいったりしてますが、それは枝葉に過ぎませんしね。
今回もまた一子と柳井くん、雪子ちゃんの子どもたちがほたる館に出入りする大人たちを見ている話。
このシリーズって役割分担がきちんとしているんですよね。
一子たちはよく手伝いを言いつけられます。
お膳をふいたり掃除をしたりとそういったことをよくしているんです。
でも、一子は自分のやるべきこととやってはいけないことをきちんと理解しているんです。
だから思ったことをすぐ言ってしまう性格である一子でも口出ししてはいけないことには何も言わないんですよね。
その辺は偉いなぁ、と。
ほたる館の大人たちのプロ意識というかそういうのを見て育ったからなんだろうな。
今回は、特別室のお客さんについての話です。
特別室に泊まる一条さん親子。一流ビジネスマンらしい旦那さんにブランドものに身を包んだ奥さんと高校生らしき息子の3人。
その一条さんが起こす騒ぎについて描いてます。
一条さんたちは実は詐欺師だったんですが、その詐欺の手口が中々にうまい。
ああやってしまわれれば、旅館側は弁償せざるを得ませんからね。
巻末で「これ見よがしにいい服を着ている人たちは見栄はりか詐欺師か、パリッとした格好をしていないと自分をパリっと見せられない人のどれか」(要約)とおばあちゃんがいっているんです。
それを読んで私が思いだしたのは何かで読んだ「本当の金持ちというかいい家の人は所作からして違う」ってことでした。
何で読んだのかは忘れてしまいましたが。確かになぁ、と妙に納得した覚えがあります。
ほたる館物語自体はこれでおしまいです。
中学生、いや高校生くらいになった一子が見てみたかったなぁ。
恋に勉強に、旅館のこと。そんなことに悩んで成長していく様を読んでみたかったです。
でも文庫じゃなくて(多分)ハードカバーが発売されたのは2002年。もう10年近く前のものみたいです。
ちょっと難しいかもしれませんね。
[0回]
COMMENT