ちんぷんかん/畠中恵
「私ったら、死んじゃったのかしらねえ」長崎屋が大火事に巻き込まれ、虚弱な若だんなはついに冥土行き!?
三途の川に着いたはいいが、なぜか鳴家もついてじて――。兄・松之助の縁談がらみで剣呑な目に会い、若き日のおっかさんの意外な恋物語を知り、胸しめつけられる切ない別れまで訪れて、若だんなと妖たちは今日も大忙し。くすくす笑ってほろりと泣ける「しゃばけ」シリーズ第六弾。
文庫最新刊を購入して、そういや最近読んでないなぁと思ってひっぱりだしました。
前巻を紹介したのが、7月なので結構あきましたね。
『鬼と小鬼』
火事に巻き込まれて、若だんなが三途の川のもとにいってしまう話。
若だんなが三途の川が2回目で云々って話を読んで、そういやそんな設定だったなぁ、と思い出しました。
若だんなは死んだわけではなく、瀕死だったのでなんとか三途の川から現世に戻ってくるのですが、本当にみんなに愛されていますね。
途中まで一緒にいた冬吉がいつの日かまた登場してくれるといいな。
こういう縁ってのちのちにつながりそうな気がします。
『ちんぷんかん』
広徳寺の寛朝のお弟子さん・秋英の話。
妖退治で有名な寛朝は奔放で、弟子とはいえ妖退治の方法を教えてもらうわけでもなく。
「たまたまそこにいたから弟子にされた」のだと思っていた秋英だったのです。
しかし、ちゃんと弟子にした理由もあって、秋英のことも信頼していた、と。
結構好きな話です。
自分の見ているものが妖だと気付いていなかった(というか認めていなかった?)秋英ですが、これからはちゃんと弟子らしいことをしていくんだろうなぁ。
『男ぶり』
若だんなの母・おたえの娘時代の話。
兄・松之助さんの縁談話が持ち上がっていて、そこから両親の話へと話題がうつっていきます。
おたえには多くの縁談があったのに、何故、店の手代だった藤兵衛が婿となったのか。
なんというか本当にお父さん良い人ですね。
でも、いい人で終わらせなかったのですからすごいです。
最後の結びには妙に納得してしまいました。
それが普通だったから今もあれが普通になっているってのもあるんだろうなぁ。
『今昔』
若だんなが式神に襲われる話。
陰陽師が登場します。
そして、陰陽師・七太夫が松之助さんの縁談先である玉乃屋に出入りして何をしているのか、という話。
江戸にも陰陽師っていたんだなぁ、というのが正直な感想です。
やっぱり陰陽師って平安が有名じゃないですか。
現代もので登場するのはそこまで驚かないんですが、江戸で登場されるとちょっと驚いてしまいますね。
最後、貧乏神の金次が七太夫に取り付いたのには、自業自得としかいえないのかな、と。
『はるがいくよ』
桜の花びらの精・小紅がやってくる話。
すごく寂しい話でした。
赤子としてやってきた小紅。その成長はすごく早くて。
わずか半月ほどで、成長し消えていってしまうのです。
どうにかしてその短い寿命をのばしてやりたいとあちこちに相談するわけですが、人間にそんなことができるわけもなく。
小紅は去っていってしまいます。
若だんなは寂しいんですよね。
松之助さんは分家――結婚して家を出て店を始めることが決まったし、三春屋の栄吉さんも修行に出るという話が進んでいるよう。
いつまでも同じじゃいられない。
それはわかっているけれど、寂しい。
こればっかりは仕方ないですね。
そして、桜の花びらと人間の寿命の差を実感すると同時に、人間と妖の寿命の差を実感した若だんな。
仁吉たちがいっていた通り、神の庭にいけば若だんなは苦しむことはないし、死ぬこともないのでしょう。
でも、若だんなはその道を選ぶことはない。
ほのぼのだけではなくなってきたシリーズですが、これから先がすごく気になります。
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