つくもがみ貸します/畠中恵
お江戸の片隅、お紅と清次の姉弟2人で切り盛りする小さな「出雲屋」。鍋、釜、布団と何でも貸し出す店ですが、よそにはない奇妙な品も混じっているよう。それらは、生まれて百年を経て、つくもがみという妖怪に化した古道具。気位が高く、いたずら好きでおせっかい、退屈をもてあました噂超大好きの妖たちが、貸し出された先々で拾ってくる騒動ときたら……! ほろりと切なく、ふんわり暖かい、極上畠中ワールド、ここにあり。
しゃばけの畠中恵さんの作品。
連作短編集といっていいのかな?
色の名前がたくさんでてきます。
章のタイトルである『利休鼠
■』『裏葉柳
■』『秘色
■』『似せ紫
■』『蘇芳
■』は全部色の名前です。
そして、「出雲屋」を営む姉弟の名前もまた色の名前です。
お紅
■もそのままだし、清次は漢字を変えれば青磁
■です。
出雲屋は古道具屋兼損料屋。
損料屋ってのは、貸し道具屋っていえばいいのかな?
布団から帯留め、鍋からなんでも貸すお店です。
昔は火事が多かったので、そういうお店が成り立ったとのこと。
まあせっかく買っても火事で焼けて使い物になるくらいならなぁ、と思わなくもないですからね。
器物が100年を経て、妖怪になったものをつくもがみというのですが、出雲屋に居つくつくもがみたちがおもしろくて仕方ないです。
しゃばけでもつくもがみは登場しますが、あちらはほかにも多くの妖怪が出るため、つくもがみは脇役というか、やられ役。(やられ役なのは屏風のぞきだけか笑)
それに対してこちらは主役級の扱いですね。
煙管の五位、姫様人形のお姫様、蝙蝠の形をした根付け野鉄、櫛のうさぎ、掛け軸の月夜見……。
メインとなるのはこの辺かな?ほかにも登場するのですが、1冊通しているのはこの5体。
つくもがみたちは自分たちは人間なんかより高尚な生き物だと思ってるので、清次たちをつねに馬鹿にしてるんですよねー。
清次がイラつく理由もわかります。
清次とお紅の関係は酷くじれったいものでした。
お紅は4年も前にいなくなった男と香炉を探し、清次は実の姉ではないお紅をいつまでも姉さんと呼び続けて。
一編一編はそう重たいものではないのですが、全編を通して背後にある蘇芳と呼ばれる香炉と男の存在は若干重かったです。
まあ若干という程度ですし、ちゃんとこの1冊で蘇芳については決着がつくのでそこまで気にすることではないです。
一度読んだ事があったのですが、つくもがみたちがおもしろいってこと以外すっかり忘れてました。
そしてこの話を読んでいて、なぜか銀魂の志村姉弟を思い出しました。
なんでだろう?
[1回]
COMMENT
無題
いいっすよね
Re:無題
時代小説なのに読みやすいですし、おもしろいですよね。
コメントありがとうございました!