ST 桃太郎伝説殺人ファイル 警視庁科学特捜班/今野敏
東京、神奈川、大阪。離れた3つの場所での殺人。だが、すべての遺体に“モモタロウ”の文字と五芒星が刻まれ、被害者は皆、岡山に関係する人物だった。県警の特命班に招聘されたSTたちは事件を調べ直し、地元に伝わる“桃太郎”の伝承を探っていく。異能の5人が謎を解く警察小説。ST“伝説”シリーズ、第二弾。
STシリーズ文庫最新作です。
これを購入したときに、続き出てないのかな?みたいなことを言っていたのですがこの巻にはさまれていたチラシに「今冬最新刊発売」とありました。
今調べてみたところ
沖ノ島伝説殺人ファイルなるものがつい先日発売されていたようです。
普通に考えて文庫化は2、3年後。
楽しみです。
さて、桃太郎伝説の感想をば。
今回STは岡山県警の要請で、岡山に出向きます。
桃太郎自体はかなりメジャーな物語ではありますが、地元ではそんな風に語られているとは……、ってのが素直な感想です。
謎解きよりも伝説の方に気がとられてしまいました。
民俗学っぽいのって嫌いじゃないんですよね。
なので、鬼=タタラ場で働く大陸からの移民?みたいな話とか、鬼のイメージ(角と虎のパンツ)だとかそういうことは知ってました。
が、地元では桃太郎が侵略者だと語られているってのは微塵も思ってもいませんでした。
まあ、そういう話ってのは所詮勝者がつくるものですからね。
今回もまた青山が活躍します。
いつもはめんどくさがって、仕事をしようとしない青山が今回は積極的に捜査に関わっていきます。
最後の涙といい、珍しいものが見れる話でした。
けど、エピローグで「もう帰ろうよ」が出たのには笑ってしまいました。
やっぱり青山はそうじゃないと。
ちょっと思ったのですが、青山って文書鑑定も専門なんですよね?
小説という媒体ということもあり、文書よりもプロファイリングに重きがおかれるというのも分からなくもないんですが、忘れてしまいそうになります。
このシリーズを読むとき毎回思うのですが、最初のキャラクター紹介部分での「世間話に付き合ってくれるのは山吹だけだ」には毎回悲しくなってしまいます。
事件が起きればちゃんと協力しあっているのですが、それでもそれは悲しいな、と。
作中でもちらりと語られていましたが、キャップの異動について。
キャップの年齢は多分30ちょっとですよね。その年齢とキャリアであるということを思えばいつまでも警部に甘んじているわけにもいかないでしょう。
普通どこかの警察署の署長にとかになるんでしたっけ?
物語としては百合根以外の人間がSTを指揮するところなんて見たくはありません。
一時的に菊川さんが指揮をとるとかならそう問題はないかもしれませんが、百合根キャップが異動になるとしたら……。
そう考えると、このシリーズもあと少しなのかもしれませんね。
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