ST 警視庁科学特捜班 赤の調査ファイル/今野敏
大学病院に搬送された男が急死した。医療ミスを訴えたものの民事裁判で敗れた遺族が刑事告発をしたため、STが調査を開始する。その大学病院で研修医をしていたSTリーダーの法医学担当・赤城左門は、捜査の過程で、封印していた自らの過去と対面する――。感想のラストが待つ好評「色シリーズ」第2段。
今回はあらすじにもあるとおり赤城さんを掘り下げた作品です。
STで医療モノ?と首をかしげたのですが、なかなか面白かったです。
今回も前作に引き続き、STが所轄に出向きます。
なので、STメンバー、菊川さんに加え捜査関係者は2人のみ。
市川巡査部長と、壕元巡査長。
壕元さんが嫌なやつです。
川那辺さんとは、また違った感じ。
あちらが見下して嫌みを言ってくるにたいして、こちらは自分が出世できないから僻むタイプ。
このタイプにとってキャリアのキャップは格好の的ですね。
赤城さんは女性恐怖症の法医学者。
そんな彼が今回関わるのは、医療ミスについて。
医療ミスって民事訴訟のイメージだけだったんですけど、刑事訴訟もできるんですね。
赤城さんの過去が明かされるのですが、ここまで暴露する必要はあったのか。
それというのも前作の青の調査ファイルが、青山の活躍は描かれているものの青山の過去については特に語られていないからです。
どうせなら、青も過去暴露してほしかったというか。
まあそんな感じです。
今回、黒崎さんが目立たなかったな。
キャップに赤城さんの出身をつげたのと、嘘発見器としてくらいしか印象に残ってません。
無口だとたまにそういうことになりますよね。
キャップが壕元さんに「うるさい。しばらく、その口を閉じていてください」と言ってのけるのですが、それに思わず笑ってしまいました。
キャップも言うようになったなぁ、と。
壕元さんをコテンパンに打ちのめしたSTメンバーにも笑いましたけどね。
すごいなぁ。
「キャップが詮索するような人間だったらSTはもたない」
赤城さんがいった台詞(要約)なんですが、ひどく意味深です。
けど、STメンバーはそれぞれはみ出しモノで、過去にいろいろあったっぽいですから、確かにそうなのかもしれませんね。
逮捕された人物の行動が酷く身勝手に感じました。
確かにそれくらいしなければ、変わらなかったかもしれません。
けどだからってあんなことしていいって理由にはならないです。
一匹狼を気取っていた赤城さんが、STたちを『仲間』と認めたことに感動しました。
逮捕までで終わってしまったらどうも後味が悪かったでしょうから、このくだりがあったことでかなり読後感がよくなりました。
[0回]
COMMENT