そして彼女は拳を振るう/松原真琴
園原八重は、代々受け継がれた霊媒体質。
人気バンドのギタリスト・十郎の霊を拾って、曲を書き、夢の印税生活を目論む。
十郎は作曲の才も確かなら、腕っ節も確か。
不良どもやら怪しい祈祷師やら、危ない奴らに殺人パンチをお見舞いする!
でも、八重の体なんだけどね……。
ジャンプ小説大賞入選の新鋭が描くおもしろ楽しい幽霊ストーリーが、「ヒカルの碁」の小畑健とのコラボレーションで登場!
昨日あと20ページほどだったんですが、読みきれなかったものです。
この作品JUMPjBOOKSなんですが背表紙が赤い大きいサイズってだけでもけっこう古いと思っていたのですが、あらすじ読むだけで古さがわかりますね。
だって小畑さんの説明が「ヒカルの碁」なんですよ?ちょっとびっくりしました。
でもこの頃ってヒカ碁はもう終盤だったんじゃないかな。シリーズ3巻のときにはデスノやってた気がするので。
「そして彼女は拳を振るう」と
「廃校舎裏の夜明け」の2話が収録されています。
この作品、幽霊が複数登場しますが、まったく怖くない。妙に人間味あふれるというか、あまりにも普通すぎて。
主人公の八重の側にいる幽霊は2体。
1人目は東大大学院に合格した矢先、22歳の秋に交通事故でなくなった美果さん。
もう1人は人気バンド『AUBE』のギタリストで24歳の真夏になくなった十郎。
今、改めてみてみたら十郎の死因って明かされてませんね。真夏の昼間、普段着で亡くなったことを考えると交通事故か急病の可能性が高いかなぁ。
化けているわけでも、祟っているわけでもなく、「シュークリームを食べたい」とか「新刊を読みたい」とかそんな主張をする。
ほのぼのとはまた違うのですが、八重の側にいる2人は怖さとは無縁であることは確かです。
園原家の長女は代々霊媒体質で、祖母も母も亡くなった人の力を借りて財を築いてきました。
おばあちゃんは画家、お母さんは文豪だったかな。
それで今度は、八重はミュージシャンである十郎に生前通り作曲させて印税生活を送ろうとするのです。
画家や文豪と違って“バンド”という他者との接触が避けられないわけじゃないですか。
て死んだはずの十郎の存在や八重との関連性、ビジネスの話までいったいどうやって持って行くのだろう?と思っていたのですが、思っていたより簡単に納得しといてビックリです。
ホント、ミュージシャンらしくないんですよね、AUBEのメンバーって。
制服&格闘技マニアな亘に、格闘技オタクでたちの悪い嫌がらせをしまくる保さん。
黙っていれば美形、一生懸命なんだけどどこか残念な青山。
人気バンドであるはずのAUBEメンバーや幽霊たちと様々なことに巻き込まれつつも、平穏な生活を望む、という話。
あとがきでも触れられてますが、伏線は放置です。
八重が強くなったのは、十郎と共存していく上では仕方ないことだとして。
普段とは違う憑依だとか、誰かに体を動かされたとか、漫画的展開を繰り広げているらしい本家だとか。
この作品、シリーズがあと2作あったと思うのですが、その辺で明かされていたかな?
シリーズラストだけちゃんと読んでないので楽しみです。
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