レンズと悪魔 9 魔神劫罰/六塚光
《八眼争覇(ディアボイックパーティ)》最後の敵。それはサクラの兄、シローだった。父を殺し、テッキの右腕を奪った仇敵に憎悪を燃やすエルバ。だが敵はシローばかりではなかった。暗躍するかつての《八眼争覇》優勝者、セブンディ。そして彼女の部下となったかつての敵たち……。さまざまな思惑のなかで、エルバは己を縛りつけていた過去と直面することになる。それは、相棒のルナとの関係にも揺らぎをもたらすことに……。エルバ、戦いの時。シリーズ第9幕!
ちょっと久しぶりのレンズと悪魔です。
前巻を紹介したのが昨年11月頭ですから、5ヶ月弱ぶりくらい?
前巻も、すごい気になるところで終わっていたのですが、今巻の方がやばいです。
作者がエルバたちに与える試練がきつすぎるんですよね。
《八眼争覇》もだいぶ進んできて、残す魔神は4体。
そのうち、3体は手を組んでいるわけですから、実質残る魔神は1体。
あらすじにもあるとおり、《闇照の魔神》であるヤミ・ヤタとその契約者・シローのみ。
しかしながら《八眼争覇》にちょっかいをかけてくる過去の優勝者セブンディが率いるセブンデイズ・デモニアクスも存在していて。
セブンディが開発した鬼神のレンズも魔神と同数存在し、それを操るのは博物館チームに恨みを持つ人物ばかりとですから本当に大変です。
前巻の最後は、シローにサクラが連れ去られてしまったところで終わっていたんです。
サクラにとってシローは兄であるとともに、テッキやエルバの仇でもある、と。
彼女に辛い選択が迫られるわけなんですが、サクラはどちらも選ぶことが出来なくて和平の道を望みます。
作中でも触れられていましたが、サクラは甘すぎるんですよね。
確かにそれは美点でもあるでしょう。10年ぶりに再開した兄に夢を見たいというか、信じたいという気持ちもわかります。
でも、テッキやエルバの父・チェビアトにやったことも知っているわけでしょう?
エルバたちもサクラのことを無下に出来るわけもなく。
読んでいて辛かったです。
物語に大きく関わってくるわけではなさそうなんですが、シローの親について。
シローは自身の父親はチェビアト、つまりエルバの父だと聞かされていました。
しかしながら、父親はチェビアトではなかったのです。
シローの父親は、オリオール・カナティック。
テッキの探偵行の師であり、常に水棲悪魔を召喚していた人物です。
想像もしていなかったことなので、びっくりしてしまいました。
エルバVSシローの戦いは辛くもエルバが勝利をおさめます。
しかし、最後の最後でエルバに施されていた記憶の封印がとかれてしまいます。
それは、チェビアトの最期の情景。
……この記憶をルナが封印していた理由もよくわかります。
ルナも後悔していましたが、この記憶の封印をもう少し前に解いていたらきっと物語は変わっていたのでしょう。
でも、後悔先に立たずっていいますからね。そう思うときにはもう遅いんですよね。
記憶を取り戻したエルバはシローの言葉に激情し、シローを殺してしまうのです。
が、それをサクラが一部始終見ていて。
サクラの復讐心のスイッチが入ってしまうんです。
サクラは怒りにまかせ力をふるいエルバを瀕死の重体におとしいれます。
とどめを刺そうとしたところに現れた魔王ブラナ・ラ・モードの誘いにのり、ヤミ・ヤタの契約者として《八眼争覇》に途中参加することになります。
……サクラがシローのもとに身を寄せていた時点で碌なことにならないだろうと思ってましたが、本当に最悪の結果になってしまいました。
今巻はものすごく後味の悪い話でした。
読んでいて何度叫びそうになったことか。
物語は起承転結でいう“転”から“結”に進んでいきます。
いったいどうなってしまうのか。楽しみです。
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