はるか遠く、彼方の君へ/安澄加奈
三人の高校生が源平合戦のさなかへ。
彼らが繋ぐ想いとは――
『いまはむかし 竹取異聞』で注目の新人、感動のタイムスリップ青春小説
希望はもたない。生きることに執着のない高校生、夕鷹は、真剣にならなければ生き延びることのできない合戦の世で、何を感じ、どう変わっていくのか。
京都への修学旅行中の高校生・夕鷹は、博物館で古い剣を目にして気を失い、気が付くと炎があがる知らない土地にいた。武士に襲われたところを助けてくれた男は、源九郎義経と名乗る。ほかにも同時にタイムスリップしたらしい2人の高校生、華月、遠矢と出会い、夕鷹たちは「平家物語」の記憶をたどりながら、元の世界に戻るために、神器の剣を探す。焦燥や葛藤、恋と別離。ラストには感動が押し寄せるロングストーリー!
図書館で借りてきました。
作者さんは「あずみかな」さんで読みこそ普通なんですが、私のパソコンでは一発変換出来ませんでした。
あらすじ(帯ですが)にもある通り、現代の高校生たちが今から800年前、源平合戦の只中に迷い込んでしまい未来へ帰ろうと奔走する話。
人生諦めきってる夕鷹(ゆたか)と唯一源平合戦の詳細を知っていた遠矢、紅一点で男勝りの華月。
この3人の高校生が、過去と現在の違いに驚いたり、翻弄されたりしながらも成長していきます。
面白かったです。
序盤はちょっと物語に入りきれなかったんですが、遠矢が登場したあたりから物語に引き込まれ一気に読み進めることが出来ました。
結構分厚い1冊(476ページ)だったんですが、4時間くらいで読み切ることが出来ました。
難をあげるとするならば、視点変換・時間経過がわかりづらいことでしょうか。
ページをめくると前と微妙につながってなかったりするので、飛ばしたかな?と前のページとのつながりを確認することが何度かありました。
私自身は、歴史があまり得意ではないので、源平合戦についての知識は夕鷹以上華月未満といったレベル。
おおまかなあらすじと、
神なき国の神々でも結構詳細が語られていたし、授業でもやった気もするし、『扇の的』くらいは知っていました。
けれど、作中で正しい歴史を知っているのは遠矢のみなので、知識がなくても特に問題なく読み進められました。
ぶっちゃけ、夕鷹の置かれた環境は
夏目友人帳の夏目を思い出しました。
あるいは
みえるひとの明神冬悟でも可。
けど2人には「普通の人には見えないものが見える」という明確な理由がありましたから、夕鷹の方が辛そうではあります。
正直、この1冊で終わってしまうのはおしいな、と思ってしまいました。
もっと心理描写をきちっとして上下巻とかでも良かったと思うんですよ。
華月の兄ちゃんについてとか唐突すぎる感否めませんでしたし。
ラスト、どうにかこうにか現代に戻ってきた3人。
修学旅行の日程ぶっちして義経の最期の地を訪れて希望をつなぐ訳ですが、遠矢の思い人は見つからないまま終わってしまいました。
これ以上は蛇足にしかならないでしょうから、描かれることはないでしょう。
でも、想像の中でくらい幸せになってほしいものです。
(私の中で、遠矢と美弥姫の生まれ変わりは老年になってから再会したらムネアツだな、なんて思ってしまいました)
[4回]
COMMENT