異人館画廊 盗まれた絵と謎を読む少女/谷瑞恵
独自の意味を背景や小物として絵画に書き込む手法、図像(イコン)。英国で図像学(イコノグラフィー)を学んだ千景は祖父の死を機に日本に戻ってきた。祖母が経営する画廊には一風変わった仲間たちが集まっており人付き合いの苦手な千景は戸惑うばかり。そこで千景はある盗難絵画の鑑定を依頼されるが、仲介者が昔から気の合わない幼馴染みの透磨だと知って……!?
呪いの絵画をめぐる美術ミステリ!!文庫書き下ろし。
先日100円で購入した1冊です。
早速読みました。
この方の小説を読むのは初めてだったんですが、少女小説レーベルで長編を書かれてる方ということもあり、外れはない感じですね。
一般書籍コーナーにありましたし、背表紙にもコバルト文庫の騎士のシルエットがないんですが位置づけとしてはコバルト文庫になるらしいです。
普通のコバルト文庫と発売日も違うので同じ名前ではありますが、本当に別物としてよさそうです。
最近、こういうラノベチックな一般書籍が本当に多いですね。
明記はされていなかったと思いますが、舞台は異人館が並び立つ町とのことなので長崎とかなんでしょうか?
イギリスから帰ってきた少女・千景が主人公。
飛び級したりしながら生来のものであった「図像を読み取る力」を図像学を学ぶことでさらに強固にしたわけですね。
千景はその知識を用いながら、人を追いつめる盗難絵画に込められた図像を読み取ろうと奔走します。
千景が何かとつっかかる存在である透磨ですが、彼にも色々と思うところがあるんだろうなぁ。
千景の祖父に千景の今後を託されているということもあり、遠回しながらも気を配っているんですね。
でも、それが千景には通じてないのがちょっとかわいそうでした(笑)
ぶっちゃけ、序盤では京ちゃん(千景のまたいとこの青年)の方が株が高かったんですが、読み進めるにつれこの人についてはどんどん下がっていってしまいました。
作中で透磨も言ってましたが、空気読めなさすぎのバカってのが一番わかりやすいかな?
(なんとなく
サマウォの翔太兄に近いものがあるよね)
色々と重たい千景の過去。
図像を読み取る力、誘拐事件、両親、さらには記憶喪失。
人付き合いが苦手というより、大切な人を作ることを避けているんですね。
いつか、彼女が素直に頼れるようになるといいですね。
ラストには少し前向きになれたので、それは近い話なのかな?
続編が出るかは不明ですが、楽しみに待ちたいと思います。
これが100円で買えたのはいい買い物でした。
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