ばけもの好む中将 平安不思議めぐり/瀬川貴次
十二人の姉が居る以外は、ごく平凡な中流貴族の宗孝(むねたか)。御所に鬼が出たという噂を聞き、仲間たちと度胸試しで確かめに行くが、そこに居たのは怪異を愛する変人と名高い名門貴族・宣能(のぶよし)だった。なぜか彼に気に入られてしまった宗孝は、彼と共に鬼の正体を追うことに。結局、人の仕業とわかって落胆する宣能だったが、その後も続く怪異の裏には、とある陰謀が隠れていて……。
新感覚、平安冒険譚!
ご無沙汰しております。本は何冊か読んではいるんですが、感想を書く時間が中々取れず。
多分今後も不定期更新になってしまうのですが、お付き合いいただけると幸いです。
今回はずいぶん前から存在は知っていたのですが、読む機会はなかった1冊。
図書館に入っていたので借りてみました。
【一 仁寿殿の怪】
【二 角三つ生いたる鬼女】
【三 葵祭りの夜】
【四 鵲の橋】
が収録されています。
1つ1つ独立している短編なので1作だけ読むみたいなことをしても大丈夫です。
でもまあ、連作短編めいたつながりがあるので、順番に読むのをおすすめします。
表紙やあらすじからもわかる通り、この作品は平安のやんごとなき身分の方々の物語です。
この時代ですから、鬼やあやかしが当たり前に存在していると信じられていました。
娯楽としての怪異譚がありましたが、度を超した怪異好きの中将は変人扱いされるほどです。
そしてそんな中将が登場するにも関わらず、怪異譚を探っていくとその正体はすべて人間の手によるものなのが、ちょっと皮肉めいていて面白い。
主人公の宗孝と『ばけもの好む中将』こと宣能は立場からすると政敵となりえる関係性です。
ですが、宗孝は十二人の姉たちの影響か、どこまでも純朴で心優しい青年でしかなく。
宣能からすると妹である初草の君の目を信じているというのもあるのでしょうが、どんどん自分の趣味に付き合わせるようになっていくわけです。
正直、宗孝の視点ですすむこの物語では、宣能の腹の内はわかりません。
色々と考えていそうで、ちょっと怖いところはありますね。
十二人の姉たちが本当にいい仕事をしているんですよね。
登場する女性たちがほぼ身内というある意味すごい内容ですが、まだ登場していない姉たちがどんな活躍をしてくれるのか楽しみです。
続きが図書館にあったのでいずれ読んでいきたいです。
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