まつりの夜、ぼくたちは。/咲間十重
四人だけの、宝物のような夜の物語。
夏祭りをひかえた終業式の日。中学二年生の園田はグループ学習の課題のため、特別教室棟に居残っていた。園田と同じグループの三名は皆、変わり者で有名。成績優秀だが堅物の仁羽。あみぐるみに名前を付け持ち歩く美少年・成島。すぐに寝落ちする超マイペースの遠山。早く夏祭りに行きたい園田は三人と話を合わせ、なんとか課題を終えるが、担任に提出しに行こうとした時、校舎に閉じ込められたことに気づく。四人は脱出を試みるが、暗闇の中でお互いの秘密と傷を知っていき――。
まだ創刊してそれほどたっていないのかな?
スカイハイ文庫、はじめて買ってみました。
物語は夜の校舎が舞台です。
増築に増築を重ねて作られた特別教室棟は何故か内鍵がなく部屋から出るのも一苦労。
山奥にあるがゆえに常日頃から携帯の電波は通じない、点検の関係で校舎の電気は消えてしまったため不審に思った誰かが見に来ることもない。
同時刻に地域でとても盛り上が祭りが行われていて、終業式の日ということも相まって居残りしている生徒はいない。
教師たちはトラブルを警戒してお祭りの見回りに追われていて校舎に残っていない。
そんな状況の中で、4人の中学生男子は校舎から脱出することを目指すのです。
もともとこの小説は小説投稿サイト・エブリスタ発。 エブリスタ発だと
櫻子さんあたりが有名かな?
小説投稿サイトからの書籍化というと、なろうを含め結構盛んに行われているんですが、読者から一定以上の評価を得ているものではあるのでしょうが、それでも好みの問題だったり読者とのズレだったりでハズレをひくこともままあるので、まあそこまで期待していませんでした。
この作品に関していうならば、うーん微妙。
舞台設定はとっても好みです。
夜の校舎、タイプの違う少年たち、少しずつ明かされるそれぞれの秘密と弱さ。
そしてスパイスとしてどこか薄暗いその地にまつわる河童伝説。
とっても面白そうじゃないですか。でも、読み終わった今思うとなんだか物足りない。
結局、ものすごく意味深だった河童伝説はなんだったんだ?と。
これ続編ありきであえて深く語らず済ませたのであればいいのですが、うーんどうなんだろうな。
彼らが迷い込んだのはいったいなんだったのか、そして先生の正体は?
ある程度察しはつくとはいえ、ちょっと放り投げてる感が否めませんでした。
気になってエブリスタを覗いてみたのですが、本編後のちょっとした短編はありましたがそれだけ。
作者が他に何かを投稿している様子もなく、作者の執筆スピードも投稿形式(連載形式でチマチマ執筆投稿するのか、全部完成してから投稿するのか)もわからない。
文庫描き下ろしで続編が出る可能性も否定はできませんが、新しいレーベルだけに傾向もわからないので本当にどうなるかは不明です。
ただ、マイナーレーベルであることは間違いないので、気を付けていないと絶対わからないと思います。
それしにても先生の対応はどうなんでしょうね。一応謝ってはいるものの『完全下校時刻を守らなかった生徒』と『人がいることを確認もせず鍵を閉めて回った用務員』のどちらが悪いのでしょうね。
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