4ミリ同盟/高楼方子
ポイット氏は、今日もがっくりと肩を落とした。「またダメだった……」
果たしてこれは何度目の失敗だろう。いったいいつになったら……?
ひとり悩むポイット氏に、ある日見知らぬ女性が声をかけてきた。
――「あなた、まだ<アレ>を食べていませんね?」
そして知らされる衝撃の事実。
どこか風変わりな中年と老年の男女4人による、ちょっと奇妙なお話。
もしかしてあなたも、<4ミリ>のお仲間ですか?
図書館で借りてきました。
以前読んだ
時計坂の家の作者さんの手によるものですね。
物語は架空の町が舞台。
そこに住む人々は、大きな湖の中ほどにある小島<フラココノ島>にある<フラココノ実>を食べないとやっていけないふしぎな体質をしていました。
大人になるにしたがって、いつの間にか食べることが当たり前になり、床屋にいくような頻度で島へと渡り実を食べるという生活を送るのです。
島へと渡る手段はいくつもあります。
船や貸しボートを使ってもよし、橋もあるのでバスでもマイカーでも、あるいは徒歩でわたってもいいのです。
ヘリコプターで渡るなんて強者もいます。
ポイット氏は若いころから何度も何度もチャレンジするものの、最後の最後で島へ渡ることが出来ず<フラココノ実>を食べることを夢想し続けていました。
そんなある日、ポイット氏はとある女性に話しかけられます。
エビータと名乗ったその女性は、非常にセンシティブな話題である<フラココノ実>のことを口にします。
そうポイット氏が<フラココノ実>を食べていないことを指摘してきたのです。
彼女が発見したことによると、<フラココノ実>を食べずにいるとわずか4ミリ浮いてしまうのだとか。
二人はどうにかして島へ渡り、<フラココノ実>を食べようと画策します。
エビータさんが目をつけていた画家・バンボーロ氏も仲間に加え、<4ミリ同盟>はいかだを作って<フラココノ島>へ渡ろうとするのです。
なんとなくフワフワした物語でした。
読み終えた今は<フラココノ実>って大人になるために必要なものだったのかな、と思います。
子ども時代の思いというか、それが消えてしまう<何か>であったのでしょう。
なんだか不思議なお話でしたが、たまにはこういう本もいいですね。
[2回]
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