もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら/岩崎夏海
公立野球部のマネージャーみなみは、ふとしたことでドラッカーの経営書『マネジメント』に出会います。
はじめは難しさにとまどうのですが、野球部を強くするのにドラッカーが役立つことに気付きます。
みなみと親友の夕紀、そして野球部の仲間たちが、ドラッカーの教えをもとに力を合わせて甲子園を目指す青春物語。
遅ればせながら、『もしドラ』が図書館の新刊コーナーにあったので借りてきました。
寄贈されたものらしいんですが、ヤングアダルトコーナーにおいてあったのは間違いなんじゃないのかなーとか思いましたけど。
マネジメント 【エッセンシャル版】 基本と原則/P.F.ドラッカー 翻訳/上田惇生
主人公のみなみが『マネジメント』という起業家や経営者のための本を『マネージャーのことが書かれた本』と勘違いし、購入。
それを読んで、野球部にあてはめ、甲子園まで導くというのがストーリー。
素直な感想としては、「これは小説ではないんだな」でした。
物語として楽しむための本ではないです。
あくまで
“ドラッカーの『マネジメント』の解説書”なんですよ。
文章の語尾のほとんどが「~~た」「~~だった」「~~であった」などの過去形。
現在進行形の出来事を語っているはずなのに、全部は「みなみは○○した」なので、読んでいてちょっと疲れます。
また、物語の起伏にかけるというか起承転結の盛り上がり方が微妙。
「転」は間違いなく、主人公の幼なじみで親友である夕紀が亡くなるあたりだと思うんです。
確かに夕紀は物語はじめから入院していました。
でも亡くなっても「あれ、死んじゃった」ぐらいにしか感じませんでした。
私、物語を読んでいるとすぐに感情移入してしまうんです。だから主人公が泣いたりするような場面だとすぐ泣くし、主要登場人物の死だとかに直面するとけっこうボロボロ泣いてしまうんです。
でもこれは泣けませんでした。
多分、誰にも感情移入できなかったからだと思います。
みなみが野球が嫌いな理由にも違和感。
女子野球の門戸は男子野球に比べたら本当に狭いです。
中学高校と進むにつれ、女子が野球を続けていくことは難しいでしょう。
でも、みなみほどの行動力がある子が素直に野球をすることを諦めてしまったことにすごく違和感を覚えました。
一番好きなキャラクターは二階正義くん。
というか彼以外は設定を生かしきれて以内気がしました。
物語として読みたい人にはオススメできません。
『マネジメント』を読んだことがないのでなんともいえませんが、『マネジメント』を読み込むための入門として読む分にはいいんじゃないかな?と思いました。
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