ウォーターソング/竹岡葉月
銀河に広がる開拓惑星。中でもとびきりの欠陥惑星であるナットの街に、転校生がやってきた。アサヒというその少女のおかげで、ナットたちの生活に波紋が!? (僕らに降る雨)
八歳のアサヒは、特殊な自治惑星の街バゲットで母親のセイと暮らしていた。そこにヒムロという男が現れ、彼女の子ども時代は終わりを告げることに……。(ウォーターソング)
新鋭が贈る愛いっぱいのSFファンタジー!
図書館で借りてきました。
図書館にあるラノベはほぼコバルト(残りはTEENS HEARTとかWHITE HEART)で、私自身ファミ通や富士見ファンタジア文庫ってあんまり読まないんで知らなかったんですが、けっこうたくさんのシリーズを出版されてたんですね。
挿絵は
文学少女の竹岡美穂さんなんですが、
ブクログ(というかアマゾン)では木下さくらさんになってます。
あれー?木下さんって
魔探偵ロキの方ですよね。
謎です。どうなってるんでしょうね。
あらすじにもある通り、2編が収録されています。
欠陥惑星に住む小学生が主人公の
『僕らに降る雨』と、
自治惑星バケットに取材にやってきた男とそこで出会った親子の話
『ウォーターソング』。
まず、
『僕らに降る雨』から。
主人公はナットことナサニエル。
学級委員で、男子の中では成績は上位。いろいろごちゃごちゃ考えている理屈っぽい少年です。
彼の住む星には強酸の雨が降り、直に雨にあたることなどできない。それどころか雨具を使ったことすらなかったんです。
そこに転校生アサヒがやってきたことから男女のパワーバランスは崩れ、クラスの雰囲気が悪くなったり、友人の転校が決まったり。
いろいろあって、ナットはクラスメイトを巻き込んで事件を起こします。
ぶっちゃけ、後半に収録されている
『ウォーターソング』を読んでしまったあとだとかなり微妙。
ナットのやったことがその後の惑星開発に影響したりしてなかなかすごいんですが、
『ウォーターソング』にのまれてしまったというか、かすんでしまったというか。
ボリューム的にも足りないので、仕方ないのかもしれませんけどね。
ちょっともったいない気がしました。
次、
『ウォーターソング』。
表題作です。
『僕らに降る雨』で転校生として登場したアサヒと、アサヒの父・ヒムロの話です。
プロローグで15歳のアサヒが登場するので、15歳のアサヒが昔(8歳)を回想しつつ何かやる話かと思いきや、15歳のアサヒが登場するのはプロローグのみ。
それ以降のアサヒはすべて8歳です。
アサヒが母親のセイと暮らしていたガラクタの街・バゲット。
そこに記者であるヒムロがやってきて、セイに拾われるところから物語はスタートします。
ジャンク屋たちにとってマドンナ的存在であった歌姫セイ。
彼女と、彼女の子であるアサヒは愛され慈しまれ生活をしていました。
セイがちょっと天然であったこと、周りが大人ばかりであったことからアサヒは8歳児とは思えないほど口達者な子に育ってましたけど、それでもとても幸せそうでした。
そんなこんなでセイはヒムロに心を許していき、ついに結婚まですることに。
しかし、幸せな日々が訪れる前に悲劇が起こるのです。
バゲットのジャンク屋たちが行っていた武器の裏取引。
それが原因で彼らは武力制圧されてしまうのです。
情けないけど、いい子だったバルス。
ジャンク屋として見習いだったから裏取引のことをまったく知らなくて……、好いた女を守って死んでいった彼にすごく悲しくなってしまいました。
空港でのやりとりが、明るい未来を示していてそれが救いでした。
あとがきでも触れられていましたが、「ナットはヒムロどころかバルスにすら負けてる」ってありましたが、本当にそうだなと思いました(笑)
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