シチュエーションパズルの攻防 珊瑚朗先生無頼控/竹内真
大学入学を機に、叔母がママを務める銀座の文壇バーでアルバイトをすることになった了。
その店は、人気ミステリー作家・辻堂珊瑚朗先生ご贔屓の店だった。
普段は店のホステスにちょっかいを出しながら、バーボンと葉巻を楽しむサンゴ先生だが、ひとたび不思議な謎に出合うと、鮮やかな推理をさりげなく披露する。
ミステリー作家は本当に名探偵なのか?
文壇バーで毎夜繰り広げられる推理ゲームと、サンゴ先生の名推理。気鋭の作家が初めて挑戦する、安楽椅子探偵ミステリー連作集。
図書館で借りてきました。
この方の作品はじめて読むのですが、青春モノが並ぶ中でのミステリだったので気になって借りてきました。
安楽椅子探偵も、連作短編ミステリーも好きなので。
というか、私はミステリーが好きなだけなんですけどね。
【クロロホルムの厩火事】
【シチュエーションパズルの攻防】
【ダブルヘッダーの伝説】
【クリスマスカードの舞台裏】
【アームチェアの極意】
の5編が収録されています。
基本的に舞台は、主人公の青年・了のバイト先「ミューズ」。
そこで紐解かれる謎についてのやりとりを影から、時には表に出て聞いている、という形です。
この作品って結構好き嫌いが分かれると思います。
それというのもこの作品、探偵役である辻堂珊瑚朗が店の女の子の体を触ったりとかそういう描写が多いんですね。
なので、そういうのが嫌な人にはちょっときついかもしれませんね。
日常系ミステリといっていいかな。登場する謎=事件ではないんです。
お店に送られてきた謎のファックスだとか、古雑誌で紹介されていた女の正体だとかそういうの。
そういうたとえ答えが間違っていたとしてもなんんら問題ないような謎ばかりなんですよ。
だから、繰り広げられる推理は正しいか否かではなく「お酒の場での会話としていかに盛り上がるか」に比重が傾いているような気がします。
謎がありその謎に対しての答えを珊瑚朗先生が正しいかどうかは別としても提示し、登場人物を納得させる。そのあと主人公が何かの拍子に答えを知る、形が続いてます。
こうやって文章にしてはじめて気付いたのですが、高田崇史さんの
千葉千波シリーズを思い出しました。
あれは謎ではなくパズルですが、千波くんが一出した答えにみんな納得するものの実は正しくなくて、ぴいくんだけが真実を知っているって話ありましたよね、確か。
まあ、千波くんとは違い、珊瑚朗先生は真実をあえて語っていないらしいのですが。
これだけ語っておいてって感じなんですが、正直その辺はどうでもいい気がします。
個人的にはこういう話もありかなぁ、と思うのですが、最後の1つ
【アームチェアの極意】はなんだかすごく中途半端な印象でした。
「続編でもあるのだろうか?」と思わせられる終わり方なのですが実際には出版されてはいないみたいですね。
続編が出されたら読んでみたいです。
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