セカンド・サイト/中野順一
本年度サントリーミステリー大賞受賞作
キャバクラのボーイ、タクトは新人キャストの花梨が不思議な力を持つのを知り、気にかける。
そんな時、人気ナンバーワンのエリカが殺された。
新感覚ミステリーの傑作!
図書館で借りてきました。
上の文章って帯に書かれている言葉なんですが、本年度っていつだよ、って感じです。
本の見た目が若干くたびれた感じなんで、5年以上は前のものだろうと思ったんですが、発行は平成15年。
もう10年近くたつ前に発行されたものなんですね。
そういや、途中でマジックマッシュルームの話が出ていましたが、それがまだ合法(というか法の整備が間に合っていない)時代の話ですからね。それくらい前の話になるか。
読んでいてなんとなく、
石田衣良さんの池袋ウエストゲートパークっぽいなぁと思いました。
主人公の青年が頼みごとをされて、問題解決に乗り出し事件に巻き込まれていく、と。
途中でクラシックが出てきたので余計かもしれません。
20歳そこそこの青年であり、社会の裏側をのぞき込むようなことをしているのに、どこか頭がよくて教養がある。
ちょっと似てませんか?
正直、ヒロインである花梨になんの魅力も感じられませんでした。
彼女が特殊な能力(未来予知のようなもの)があって、過去のつらい経験を繰り返さないためにも未来を変えて人を助けたいと思っているようなんです。
気持ちはわかりますが、なんか微妙なんですよね……。
花梨に魅力を感じないから、タクトが花梨を助けに中国マフィアの元に乗り込んだときもワクワクするということはなく、冷めた気持ちで読んでいました。
主人公はまさに命を賭けるわけですが、そこまでする魅力があるのか?とか考えてしまって……。
けしておもしろくない訳じゃないんですけど。
何か物足りない印象を受けました。
最終的に、タクトが助かる原因となったものにも、ちょっと。
マンガじゃないんだからさーと言いたくなってしまいました。それが許されるのは少年マンガの世界だけだと思っていたのですが、小説でもありなんですね。
刑事さんたちとタクトのやりとりは好きです。
こういう刑事さんって、シリーズ化するとなんだかんだ言ったって、主人公を助けてくれるんですよねー。
個人的にはタクトの友人たちの方が気になりました。
アキラとかね(笑)
まさに悪友って感じです。
そしてちらりとほのめかされていた借りっていったいなんなんでしょう。
事件は無事に解決し、花梨とタクトの仲も進展し、花梨のビジョン通りタクトはお店をやめてピアノを再び弾き始める、ってところで終わり。
この作品って
ロンド・カプリチオーソも出版されているようですね。
でも、図書館にはきっとないんだろうなぁ。
あったらちょっと読みたいので、あまり期待せずに探してみようかと思います。
[0回]
COMMENT