風の陰陽師 2 ねむり姫/三田村信行
ある日、都に不吉な黒い雪が降り、やがて暗い闇に閉ざされた。
一方、密かに想いをよせる中納言家の娘、咲耶子が御門に見初められ入内することを聞き、衝撃を受ける晴明。しかし姫は“闇の陰陽師”黒主の呪術にかかり、眠りについたきり目覚めない。晴明は、都と姫、大切なものを守ることをできのか――。
少年晴明が、困難のなか秘めた力に目覚め、一人前の陰陽師へと成長していく物語。単行本未収録の番外編「旅の宿」収録。
図書館で借りてきました。
これの続きですね。
相変わらず密度が濃いというか、なんというか。
ちょうど手元に同レーベルの陰陽屋があったんで比べてみたんですが、厚さはそう変わらないんです。
ただ1ページあたりの文字数が違うんですね。
だから思いこみでもなんでもなく文章量はこちらの方がかなり多いみたいです。
(ちなみに風の陰陽師は18行×40字。陰陽屋は15行×38字でした。)
今回は都に黒い雪がふるというところから始まります。
なんとも不吉な現象ですが、これはやっぱり凶事発生の知らせでしかなかったんですね。
闇の孕み子なる化け物が現れて、都中を恐怖に陥れ、御門に見初められた咲耶子様を陥れようとするものたちが現れたりするわけなんですが、読んでいて
少年陰陽師を思い出してしまいました。
晴明と咲耶子姫の関係が窮奇編の昌浩と彰子っぽいんですよ。
夜の都を守り、思いを寄せた姫に2度と会えなくなることがわかっていても、姫を入内させるため奔走する。
やってることは全く同じなわけです。
正直、昌浩の方が見ていて辛かったです。
今回は、平安貴族たちの権力争いにおけるどろどろが垣間見えました。
咲耶子姫を入内させたくないがために、夢魔を仕掛けてみたり、自分たちの力を効果的に見せるためだけに、罪のない町人たちが死ぬのを放置していたり。
道満に至っては、殺されかけたことに気づいていない(というか気づきたくないのかな?)ですし。
保憲は父の行動に疑問を持ちながら、それを突き詰めようとはしていない。
物語的にもこのまま放置するわけにもいかないだろうし、若者たちに困難が待ち受けているようですね。
鷺麻呂が可愛かったです。
赤眉に喧嘩ふっかけて負けたら何度も謝って、道満が黒主の手で眠りにつかされたことを知らないから、道満を探しまわったり(敵であるはずの晴明のところまで来ちゃうんですからすごいですよね)。
道満の方も鷺麻呂には優しいから余計テンションあがってしまいます。
いつの日か黒主と晴明が戦うときがくるようなんですが、そのときには道満も仲間になっていたらいいなぁ、と思いました。
3巻が図書館にあることを祈りたいと思います。
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