ドッペルゲンガー宮 《あかずの扉》研究会流氷館へ/霧舎巧
北澤大学新入生のぼく=二本松翔は、サークル《あかずの扉》研究会に入会した。自称名探偵、特技は解錠などクセ者ぞろいのメンバー六人が、尖塔の屹立する奇怪な洋館“流氷館”を訪れた時、恐るべき惨劇の幕が開く。閉鎖状況での連続殺人と驚愕の大トリック! 本格推理魂あふれる第十二回メフィスト賞受賞作。
ようやく読み終えました!
さすが600ページ強。通算して4、5時間かかりました。
このシリーズもう1冊持っているのですが、次もこれくらい厚かったはず。
2日かかると思わないとダメですね。
物語は語り手である青年カケルが《あかずの扉》を発見するところから始まります。
実際は「《あかずの扉》研究会」なわけですが、プレートが半分落ちていて《あかずの扉》を自称するというわけのわかんない状況になっていたわけです。
第一章はカケルが《あかずの扉》研究会へ入会するところまでで終わってしまいます。
これだけの厚さがあるのでそうは気にならないのですが、プロローグ的役割を果たしている第一章が長い。
研究会メンバーだけで6人もいるわけですから、自己紹介というか能力紹介にある程度行数が必要になってくるのは仕方ないのかもしれませんけど。
流氷館。
いかにも寒いところにありそうな名前してますけど、あるのは千葉県だったかな?
館の持ち主の名前――氷室流侃(ひむろりゅうかん)からとられたものなんだとか。
先発した自称名探偵・鳴海のあとを追い、流氷館に向かったメンバーが目にしたのは抜け殻となった流氷館。
そこに入った連絡によると、鳴海もまた流氷館にいるという。2つの流氷館――ドッペルゲンガー館で次々に起こっていく事件を解決しようとしていくのがストーリーです。
これだけ長い物語を中だるみさせることなく読ませたのはすごいと思います。
まあ、その分登場人物も多いし、脳内見取り図と一致させるのは結構面倒でしたが。
そして作中で使われたトリックもまたすごい。
紙の上の物語だから出来ること、ですね。
いや、実際やろうと思えば出来るのかもしれませんよ?
けどお金がねぇ……。難しいでしょう。
作中で出てきた鳴海さんですが、この人自称名探偵です。
私、はやみねかおるさんの夢水清志郎以外で自身を名探偵というキャラクターを知らなかったのですが、いたんですねぇ。
あ、ちなみに解説ははやみねかおるさんです。
はやみねさんが霧舎さんの作品を読んでるってのは「六月は雨の〆〆密室」だったかな?
亜衣ちゃんが書いた作中作からも分かってましたけど、解説までしてるのは知りませんでした。
閑話休題。
どうも作中では後動さんの引き立て役というか、名探偵に今一歩という感じが否めませんでした。
後動さんが名探偵、鳴海さんがそれに今一歩及ばず、カケルはそれにさら2歩ほど及ばない感じでしょうか。
ユイとカケルの関係だとかも作中では触れられていて微笑ましいな、と思っていたのですが、謎解き部分に少女たちが登場しなくて「あれどこ行った?」と思ってしまいました。
謎解き部分が結構長いため、そう感じただけなんでしょうけど。
作中で、推理小説の叙述トリックについて言及されているのです。
会話文で彼のことを彼女と言ってもいいが、地の文ではダメってやつですね。
これ、本編を読み終えたあとに登場人物紹介をみるとそのフェアプレイ精神がわかります。
読み終えて「なるほど」と思ってください(笑)
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