ヘルたん/愛川晶
新米ヘルパーなぜか探偵修行中!
推理と介護のフュージョン!新機軸の青春本格ミステリ
どん底のぼくが出会った伝説の名探偵と白い猫とツンデレな先輩そして奇妙な事件の数々――ぼくは、きっと変わっていける
元引きこもりの神原淳は、浅草に住む成瀬老人宅の居候になる。
そこで出会ったヘルパーは、淳が高校時代に恋していた不良先輩・中本葉月。成瀬は実は伝説の名探偵で、淳はヘルパー講習の傍ら、探偵見習いも務めるはめに……。
事件と謎は、介護現場にやってくる。
ヘルパー探偵ここに誕生!
図書館で借りてきました。
変わったタイトルなので、いったいどういう意味なんだろう?と興味をひかれてしまいました。
【パルティアン・ショット】
【モノローグ1】
【ミラー・ツイン】
【モノローグ2】
【シュガー・スポット】
【モノローグ3】
が収録されています。
連作短編集で、モノローグは成瀬氏による独白です。
あらすじ(というか帯)にもあるとおり、「ヘルたん」の意味はヘルパー探偵。
半ば引きこもりだった淳は、遠戚の紹介で成瀬老人宅に転がり込むもののそのままではいけないと、高校時代の先輩であり、現在成瀬宅にヘルパーとしてやってくる葉月と再会します。
その様をみて、ヘルパーの資格をとり働きだした淳でしたが、訪問先やら何やらで謎めいたことと遭遇し、成瀬の助言を受けながら謎を解き明かしていくっていうのが基本ストーリー。
この話、一見軽い話なのかと見せかけてけっこう重い話でした。
それぞれ多くの隠し事を抱えつつもなんとかうまくやっているといえばいいでしょうか。
ヘルパーの現状だとかあまり知ることのない世界なのでなるほどなぁと思いながら読んでいました。
確かに成瀬氏は名探偵であるといえるのでしょう。
「話を聞き、推理を語って」まではいいのです。
でも認知症のせいでそこから先がダメになってしまっているんですね。
どんな話を聞いたか、そこからどう話を導いたか、そしてどうするように話したか。
自身の書いたわずかなメモからそれを推測してみせるのは確かにすばらしいといっていいのでしょう。
でも、本人はメモに頼らなければならないことにおそれてもいて……。
物語的にはとりあえずの決着がついています。
が、いろいろと気になる点が残っているのも確かです。
成瀬氏のモノローグでも「解決し得なかった事件」の存在、そしてそれを解決したい意志が示されていますから続編が出る布石なんでしょうね。
図書館に続きが入ったら借りてきたいなと思います。
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