一つ屋根の下の探偵たち/森川智喜
アリ「探偵は人脈と根性ですよ!」
キリギリス「私は夢の中で推理をしていようと思う」
ユーモアミステリー&驚愕の謎解き!
奇妙奇天烈、摩訶不思議な「アリとキリギリス」事件!
――真相の解明が待たれる。
二人の探偵とハウスシェアを始めた新人エッセイストの浅間修(あさまおさむ)は、苦しい経済状況を打破するために、同居人の探偵捜査についてルポルタージュを書くことに。そんなとき、雑誌に「アリとキリギリス事件」の記事を発見。奇妙な密室で男が餓死し、その床にはアリの巣のような穴があいていたという。対象の事件は決まった。しかしルポに採用されるのは、一人だけ。勝負を面倒がる探偵・天火隷介(てんかれいすけ)を、真面目な探偵・町井唯人(まちいゆいと)が説得し、二人は対決することに。果たして真相に到達するのは探偵(アリ)か、探偵(キリギリス)か、それとも?
京都大学推理小説研究会出身の筆者による探偵小説、はじまりはじまり!
図書館で借りてきました。
この方の小説を読むのははじめてですね。
巻頭に紹介になっていない登場人物紹介があって、もうその時点で「なんだこれ」って感じでした。
町井唯人――私立探偵。アリのように探偵をする。
天火隷介――私立探偵。キリギリスのように探偵をする。
浅間修――私。昆虫観察のように探偵観察をする。
さらに、ページをめくると事件現場の絵が描かれていてもうその説明読んだ時点で「一体どんな事件なんだ」と期待半分、ひどいトリックになるのではないかと不安半分で読み進めていきました。
結果的には、微妙の一言につきました。
話時点はそこまで悪いものではありません。比較的すらすら読める一冊ではあるでしょう。
でも、トリックがちょっとお粗末な印象を受けました。
今作で探偵たちが謎を解こうとする通称・アリとキリギリス事件の概要は下記の通り。
山中にある旅館の物置代わりに利用している建物で男性の死体が発見された。
発見当時、扉には内部から数字錠がかけられていたが、死亡した男性は数字を知っており、数字を忘れるということもありえない状況だった。
さらに、元々床にあった直径15センチほどの穴が直径20センチほどに広げられていた。
その状態で何故、男性は餓死したのか。
事故、事件、自殺かもわかっていない状況から捜査を開始します。
なんというか、大風呂敷広げすぎなような印象を受けてしまったんですね。
で、実際読み進めていくと確かに一応全ての問題に説明はついています。
いくつかの要素が組み合わさってこの死体は誕生したわけですが、そのうちの1つ、建物を密室にしたトリックですがこれ私過去に見たことあるんですよ。
ちょっとタイトルわかんなくて今ググったんですが、
アリス探偵局っていう17、8年くらい前だと思うんだけどNHK教育でやってた番組があって。
それの中で同じようなトリックを見た記憶がうっすら残ってます。あれは確か閉じこめられて脱出するためだったと思いますが。
似たようなトリックが存在することは少なからずあることですが、放送当時、作者が小学校高学年くらいだってこと、放送枠が天てれ内(対象年齢:小中学生)だったことなどを考えると作者がアリス探偵局を見ていた可能性は否定できないのかなぁ、なんて考えてしまって素直に楽しめませんでした。
それ以外にも一人称小説であるのにも関わらず、主人公に中々感情移入できなかったのはきつかったです。
感情移入できるころには、もうほとんど終わりだったので。
町井の元妻であり、ブレインであるマイも交えて4人の活躍はまた見てみたいなとちょっと思いました。
でもまあ、続編を積極的に探そうとは思えないかな。図書館で手に取ることがあったら読んでもいいかも、レベルです。
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