五龍世界 WOOLONG WORLD 1 霊廟に臥す龍/壁井ユカコ
五龍の神龍の屍の上につくられたといわれる五龍大陸。とある山に廟をかまえる高名だが悪人面の道士のもとに預けられた少女ユギは、兄弟弟子の左慈とともに修行に励む日々を送る。ある日、追われている幼い少女をかくまったことから、ユギの日常は変わり始める。少女に嵌められた呪入りの枷の謎、追う金髪の青年牧師の目的は……?
ときめきや興奮、感動の要素を多分に秘めた極上エンタテインメントシリーズ。書き下ろし掌編を収録して待望の文庫化!
図書館で借りてきました。
表紙は松本テマリさんだったんですが、言われるまで気づかなかったです。
今はパソコンで描くのが普通になってしまいましたねー。
1900年前後の中国がイメージされたファンタジーです。
蠱毒による憑き物が普通に存在し、それによる富が普通に約束されていて。
ただし、その一方で蠱を飼いつづける限り、巨万の富の代償に餌となる犠牲が必要だったりするんで、道士によって祓われる存在であったりしています。
主人公は15歳の少女・ユギ。
幼いころに口減らしのために、廟に置いてけぼりにされた少女です。
物語はそれから10年後の話です。
内容的にはおもしろいです。
不覚にも、師匠の死に様には涙してしまいました。
でも、序盤から中盤にかけてのユギが好きになれないのが非常にもったいない。
ユギは『井の中の蛙』を地でいくというか。
師匠への信頼というか、盲目的に師匠を信じきってしまっているんですね。
まあ、親に捨てられた自分を育ててくれた存在で、街の人々に頼りにされ続けるさまを見続けたというわけでしょうから、そうなるのも仕方ないんでしょう。
けど、それがすごく鼻につくというか。
頑固なのはいいけど、ちょっと考えなしな印象が強くて、なんだかなぁと思ってしまいました。
後半の成長っぷりは凄いんですけどね。
後はそうですね。
はじめ、ユギはイルラックとともに旅に出るのかな?と思ったんですよ。
長い間一緒にいた兄弟子・左慈は、符力(フーリー)。
ようは式神だったんです。つまりは術者が死んだら消えてなくなるような存在でしかなかったわけで。
ユギにとって、師匠亡き後の廟は辛い存在でしかないと思ったんです。
なので、修行がてらイルラックの蠱を祓う方法を探すのかな?と。
しかし、左慈を復活させたユギは左慈と二人で廟を守り盛りたてていくことにし、一方のイルラックは旅を続けると。
うーん、何かしらの進展があると思ったんだけどなぁ。
巻末にある既刊紹介の2巻のあらすじを読む限り、このシリーズって1巻ごとに主人公が違うのかな?
そうであるなら、イルラックとユギが再会するのはだいぶ先のことになりそうです。
この本、寄贈本のようなので、図書館で続きを買うかはかなり微妙。
買ってくれたらまた借りてこようと思います。自分で買うことはないと思います。
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