仔羊の巣/坂木司
自称ひきこもりの友人、鳥井真一が風邪で寝こんでいたある日、僕、坂木司は同僚から、同期の女性の様子がおかしいと相談を受ける。慣れない探偵役をつとめた僕が導き出した解答とは……。また、木村栄三郎さんのもとで出会った男性と地下鉄の駅で見掛けた少年の悩み、そして僕自身に降りかかる悪意の連続、それらの真実を鳥井はどう解明するのか。ひきこもり探偵シリーズ第二弾。
以前紹介した
青空の卵の続編です。
前作を図書館で借りたあとに続編を探したんですが、図書館には坂木さんの作品自体2冊くらいしかなくて。
仕方なく文庫を購入しました(笑)
【野生のチェシャ・キャット】
【銀河鉄道を待ちながら】
【カキの中のサンタクロース】
の三編が収録されています。
キャラクターはなんとなく覚えていた気だったんですが、結構忘れていました。
1年以上前に1冊読んだだけってことを考えれば、読んでいるうちになんとなく思い出せたからまあ上々ですね。
あらすじにもあるとおり、ひきこもりがちな鳥井とその友人・坂木がメインキャラクター。
いわゆる日常の謎を解きながら、ひきこもりの鳥井の世界を少しずつ広げていく連作短編です。
作者と登場人物が同名な作品ですが、けしてイコールではないのでご留意を。
えー、前巻でも思いましたが非常にホモホモしいです。
冒頭に、
(略)こんな僕らの会話を聞いている人がいたら、小学生とそのお兄ちゃんがいるのだと想像するかもしれない。けれど、僕らはれっきとした成人男性で、しかも二十代も後半になっている。(p13}
とあるんです。正直、私にはホモにしか見えませんでした。
ですが、作中でも「ホモ」について触れられていて、すごく罪悪感を覚えてしまいました。
そういう目線で見てごめんよ、と。
でも、滝本さんも言ってたけど
「ファクターだけ取り出してみれば、それらしい」(p239)んですよ。マジで。
共依存とでもいうのかな?
鳥井が坂木へ依存している様の方が目立つんですが、逆もまた然りなんですよね。
坂木にとっても、寄りかかってくる鳥井の存在が支えになっているというか。
鳥井は坂木の手を離すことができないし、坂木も鳥井の手を振り払うことも出来ない、とでもいえばいいかな。
このままでいいわけないってことだけは確かです。
利明くんが可愛かったです。
根が真面目というかいい子なので、グレきれてないというか。
ツンツンしてた子がちょっとずつ懐いてくとか見てるだけで楽しいですよね。
解説を有栖川有栖さんが書かれているんですが、単行本版の解説を書かれたのははやみねかおるさんのよう。
超読みたい。
はやみねさんは、鳥井のことを好きになれない、と書かれていたようなんですが、なんかわかるなぁ。
はやみねさんの描く探偵って破天荒で常識なくて周りを振り回してばかりいるけど、すごく大人なんですよね。
だから、精神的に危うい鳥井がダメなんだろうな、と思いました。
少しずつ知り合いが増えていき、鳥井の世界は広がっていきます。
坂木とは依存関係ではなく、共存関係になってほしいものです。
このシリーズは3巻完結。あと1冊しかないとかちょっと寂しいですが、近いうちに読んでしまいたいです。
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