佐藤さん/片川優子
僕は「佐藤さん」が怖い。ナイフを持っているわけではないし、不良でもない。ごく普通のクラスメイトの女の子を僕が怖がる理由は、彼女に憑いている“アレ”のせい――。気弱な高校生の僕と佐藤さんの不思議な関係は幽霊から始まった。青春時代のみずみずしさがあふれる第44回講談社児童文学新人賞入選作。
昨日の宣言どおり児童書です。
児童書って文庫にするとめちゃくちゃ薄いんですよね。
「佐藤さん」、「No.6」、「妖怪アパートの幽雅な日常」なんかはかなり薄いです。
児童書の文庫化作品でそれなりの厚さのあるものってはやみねかおるさんの作品くらいしか思いつかないです。
あ、バッテリーもまだそれなりの厚さはありますね。
それだけ児童書って文章量少ないんだろうなぁ。
「僕は佐藤さんが怖い」ではじまるこの作品。
終りよければ全てよし、って言葉がありますがそれって小説には当てはまらないんですよね。
書店で手に取ったとき、あらすじや冒頭数ページを読んで購入を決めるって方多いと思うんです。
私は冒頭がおもしろいとか、続きが気になるような内容だとか、そういうものだとついレジまで持っていってしまいます。
そう考えるとこの作品はかなりうまいんじゃないかな、と思います。
なんで佐藤さんが怖いんだろう?とついつい読み進めてしまいます。
幽霊に憑かれやすい佐藤さんと、幽霊が見える僕こと佐伯くん、佐藤さんに憑いている幽霊・安土さんがメインです。
幽霊が出てきますが、まったく怖くありません。
安土さんがすごく明るい性格だからなのか、幽霊ぽくないというか。
1冊を通して佐藤さんと佐伯くんの成長を見ていくのがとてもよかったです。
はじめ佐伯くんは暗くて臆病な男の子ってだけだったんですけど、最後はちゃんと女の子を支えられるだけになってますから。
最後、安土さんが成仏してしまうんですが、ちょっと残念でした。
成仏することが悪いことだとはいいませんが、もう少し安土さんに見守っていて欲しかったなぁ、と。
けど、安土さんがいつまでも佐藤さんのそばにいたら佐伯くんは強くなれないんだろうな、とも思うので物語的には成仏しなきゃいけなかったんだろうな。
最後携帯を買うためにバイトをする、って会話で終っているんですがいつか続きを書いてくれないかなぁとかちょっと期待しています。
けど同時にこれ以上は蛇足になるのかなぁ、とも思うのです。
難しいですね。
この物語ってもう少し掘り下げてもよかったんじゃないかな、とか思うところもあるんですがさらりと読む分にはとてもおもしろかったです。
なんといっても驚く点はこの作品を書いた当時作者は中学生だったってことですね。
あとがきを読んでびっくりしました。
現在でも22,23歳くらいと非常に若いのですが、まさか中学生が書いたとは……。
すごいとしかいいようがないですね。
明日は多分ミステリー。
あんまり分厚くないのを読もうかと思いますけど、そう都合いいのあったかなぁ。
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COMMENT
無題
そんなお話でした。
トラックバックさせていただきました。
Re:無題
確かに「佐藤さん」は読み終えたあとすっきりするというか、そんな感じの話ですよね。
コメント&トラックバックありがとうございます。
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