屍人荘の殺人/今村昌弘
神紅大学ミステリ愛好会の葉村譲と会長の明智恭介は、曰くつきの映画研究部の夏合宿に加わるため、同じ大学の探偵少女、剣崎比留子とともにペンション紫湛荘を訪ねた 。合宿一日目の夜、映研のメンバーたちと肝試しに出かけるが、"想像しえなかった事態"に遭遇し紫湛荘に立て籠もりを余儀なくされる。
緊張と波乱の一夜が明け――。部員の一人が密室で惨殺死体となって発見される。しかしそれは連続殺人の幕開けに過ぎなかった……!!
究極の絶望の淵で、葉村は、明智は、そして比留子は、生き残り謎を解き明かせるのか!? 奇想と本格ミステリが見事に融合する選考委員大絶賛の第27回鮎川哲也賞受賞作!
たった一時間半で世界は一変した。
全員が死ぬか生きるかの極限状況下で起きる密室殺人。
史上稀に見る激戦の選考を圧倒的評価で制した、衝撃の本格ミステリ!!
鮎川哲也賞受賞作
予測不可能な奇想と破格の謎解きに選考委員、大絶賛!!
本格ミステリをけん引する新たなる旗手、衝撃のデビュー!!
図書館で借りてきました。
実はこの本、発売前のプルーフ版読者モニターに応募したりもしててずっと気になっていたんです。やっと読めて良かった。
ミステリ愛好会のメンバーが目的不明な探偵少女とともに、何か問題があるらしい合宿に参加する所からスタートします。
合宿の舞台は山奥にある大学OBのペンション。
予想以上に大きなペンションを舞台に、参加者たちの様々な思惑を探っていく、というまあある種ミステリの王道といっても過言ではないほどの状況です。
メインとなる登場人物は、語り部でありミステリ愛好会のメンバーである葉村。
ミステリ愛好会の会長であり、《神紅のホームズ》とも呼ばれる明智恭介。
そして実際に様々な事件を解決してるという探偵少女・剣崎比留子。
その他合宿参加メンバーたちが続きます。
作中で嵐が来ようと道は一つじゃないのでいわゆる『嵐の山荘』としてクローズドサークルになることはないと説明されているのです。
それなのにあらすじにある通り、彼らは紫湛荘に立て籠もることになり、意図せずクローズドサークルを作り出すことになるのです。
人には不可能な、けれど人によってなされたことが示唆される不可解な死が起こり彼らは否応なしに犯人探しを行うことになるのです。
……その原因は、実際に読んで確かめてほしいと思います。
ツイッター上で目にしていた「新しい」、「何を語ってもネタバレになる」という声の理由がここにあります。
設定としてとてもおもしろいがゆえに、その反動というわけでもありませんが、これラスト滅茶苦茶になるんじゃ……という懸念があったのです。
ですが、最後まで読み終えると本当にキレイにまとまっているのです。
本当にすごい。
この作品、シリーズ化の可能性はあるのしょうか?
物語のある種、黒幕ともいえる班目機関。
彼らについては謎しか残っていないことを思うと、まだ何かあってもおかしくはないのかも?とも思うのですが、そればっかりはまだまだわかりませんね。
この設定を受け入れられる人であればかなり楽しめるのではないでしょうか。
何はともあれ、かなり久しぶりにミステリを読んだ!という充足感がありました。
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