探偵・花咲太郎は閃かない/入間人間(いるまひとま)
「推理は省いてショートカットしないとね」「期待してるわよ、メータンテー」
ぼくの名前は花咲太郎。探偵だ。浮気調査が大事件となる事務所に勤め、日々迷子権を探す仕事に明け暮れている。
……にもかかわらず、皆さんはぼくの職業が公になるや、期待に目を輝かせて見つめてくる。刹那の閃きで地雷を看破する名探偵で、最良の結末を提供してくれるのだろうと。
残念ながらぼくはただのロリコンだ。……っと。最愛の美少女・トウキが隣で睨んできてゾクゾクした。でも悪寒はそれだけじゃない。
ぼくらの眼前には、なぜか真っ赤に乾いた死体が。……ぼくに過度な期待はしないで欲しいんだけどな。これは、『閃かない』探偵物語だ。
だいぶ前に中古で購入して積読本になっていた1冊です。
なんでこれ購入したんだったかもう全く覚えてないです。
【一章 花咲太郎は閃かない】
【二章 残酷ペット事件】
【三章 ぼくがルイージな理由】
【四章 マリオ】
【五章 愚かさの閃き】
が収録されています。
一応、章だてにはなっていますが一章ごとに完結しているので形態としては短編連作といっていいでしょう。
主人公はロリコンで探偵のぼくこと花咲太郎。
花咲太郎と一緒に生活しているトウキこと桃子の2人がメインの登場人物です。
同僚で探偵のエリオットや殺し屋の木曽川なんかもレギュラー入りと見て良さそうですが。
物語は基本、花咲太郎の視点で進みます。
この花咲太郎。三代目を襲名したとありますから、本名ではないのは明白なんですが、歌舞伎とか落語ならともかく、探偵で名前を襲名ってすごく不思議です。
本名なんなんだろう?
えー、この作品は一般的な探偵小説を想像して読まれた方は肩透かしを食らうと思います。
多分、私も購入後すぐ読んでいたらぶん投げていたかもしれない(笑)
一般的にいう探偵小説あるいは推理小説というのは、事件が起こり、探偵が(積極的か消極的かはともかく)事件解決のために動き、推理で犯人を追い詰めていくというものを想像されると思います。
この作品だと、推理パートがほぼ皆無なんです。
事件発生→結論→過程を穴埋め、って感じ。
穴埋めだから気にする人がいなければ本当に必要最低限のことも埋められていないという状況です。
というのも、トウキが「探偵気質の持ち主」だからってことらしいです。
コナンや金田一少年と嵐の山荘の組み合わせとでもいえばわかるでしょうか。
名探偵のいくところに事件ありとでもいえばいいかな。
そしてトウキは犯人を勘で指摘することが出来て、それが外れることはない、ってことらしいです。
なんだ、そのチートって感じですが、過程が丸ごとないので普通の人は唖然としてしまいます。
読者もまた同じってことなんですよね。
だからこの作品は推理小説ではないといってかまわないと思います。
ラノベというかエンターテイメント作品に分類されるかと。
なんというか、この作品における「生命の重さ」がめちゃくちゃ軽くてちょっと驚いてしまいました。
私は推理小説好きだから人が死ぬ様を見てきたか数え切れないくらい読んでいます。
でも、こういう殺され方はあまり好きじゃありません。
前述の通り、中古で購入した作品なんですが、これ初版なんですよ。
章の表紙とでもいえばいいのかな?
三章が2つあって、四章がないのは誤植なんでしょうね。
やっぱり初版だとこういうミスちょこちょこあるんですねー。
この作品、シリーズとして続いているようです。
中古なら買ってもいいかな。新品では買おうとは思いません。
[0回]
COMMENT